【基礎編】運用型広告とは?仕組み・特徴・種類・導入のポイントについて

Webマーケターに向けて運用型広告の全体象を説明しています。この記事では、広告初心者を対象に、運用型広告の定義や仕組み、特徴、種類などを分かりやすく解説。また導入方法についても言及しています。専門用語が多く、とっつきにくいイメージがある運用型広告。まずは基本の基から知識を習得していきましょう。

運用型広告とは

「運用型広告」とは、広告主が、クリエイティブ(配信内容)やターゲット、広告予算などをリアルタイムで変更し、効果を最大化することができるWeb広告です。明確な定義はありませんが、おおむね下図の条件を満たす広告が運用型広告と呼ばれます。

運用型広告の主な条件
入札額・配信内容・配信数・配信期間、配信ターゲットなどがリアルタイムで変更可能
広告の成果に応じて広告料が課金される(クリック課金方式など)
広告の買い付けがオークション形式の入札によって決まる
広告の成果を判別するコンバージョンタグなどの挿入が可能
入札額や広告の品質などによって掲載順位や掲載場所が決まる

運用型広告と対比して使われる言葉には、特定メディアの広告枠を買い取って掲載する「純広告」「予約型広告」「枠買い広告」が挙げられます。分かりやすい例としては、配信枠・広告内容・掲載料金が決まっているTVCMや新聞広告。またYahoo! JAPANなどポータルサイトのトップページに大きく掲載されるWeb広告なども、その典型的な例と言えるでしょう。

運用型広告の市場

電通グループが2020年3月に発表した「2019年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、国内総広告費6兆9,381億円のうち、インターネット広告費が30.3%を占め、2兆1,048億円(前年比119.7%)。また、インターネット広告費に占める運用型広告の割合は79.8%で、前年比115.2%に成長。一方、予約型広告は全体の13.9%に留まっています。

さらに、2020年のインターネット広告媒体費(※インターネット広告費から「インターネット広告制作費」と「物販系ECプラットフォーム広告費」を除いた額)が前年比111.0%まで成長する見込みといい、運用型広告の市場は今後も右肩上がりなることが予想されます。

運用型広告の特徴や強み

運用型広告には、精緻なターゲティングや手軽さなど、さまざまな特徴や強みがあります。一方、設定の項目が多岐に渡るため、運用の感覚をつかむまでに時間がかかるケースもしばしば。運用方法を誤ると、余計な工数やコストを消費してしまうデメリットも存在します。

精緻なターゲティング
不特定多数にしかリーチができない旧来のマス広告に比べ、運用型広告では、広告を見せたいターゲットに対してピンポイントでリーチすることが可能です。特定の性別や年齢、住所、職業のターゲットに対して広告を配信したり、自社のWebページを閲覧した人に対してアプローチをかけたりすることができます。

この細やかなターゲティングによって広告主は、購買ファネル(※1)のどのフェーズにも広告を対応させることが可能で、自社サービスの「潜在層」「検討層」「顕在層」に応じてさまざまな広告を出し分けることができるのです。従って、運用型広告は効果的かつ効率的な広告の手法とされています。
(※1購買ファネルとは、消費行動の流れを「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入・申し込み」などのフェーズに分解して、マーケティングを捉える概念)。

手軽さ
運用型広告は数百円で出稿することができるため、気軽に広告を出せるといったメリットがあります。出稿するに当たって厳しい審査もないので、企業経営者だけではなく個人でも簡単に広告を扱うことができてしまいます。

さらに、Google広告(旧:Googleアドワーズ)などを始めとする一部の広告プラットフォームでは、広告の最適化を自動で進めるシステムが組み込まれているので、初心者でもある程度の最適化ができるようになっています。

運用型広告が配信されるまでの流れ(入札の概念)

運用型広告を理解する上で避けて通れないのが広告入札の概念です。初心者にとって、この入札システムはとっつきにくいかもしれません。このため、まずは大枠をつかむ所から始めましょう。

これまでの広告取引では、掲載メディアと広告主の間に代理店が入り、料金や配信枠などが決められていました。しかしWebは物理的な空間がなく広告枠が無数に作れるので、代理店が全てを折衝することは不可能です。そこで取り入れられたのが、”広告枠の自動オークション”という訳です。

PVが集まるWebページや、検索数が多いキーワード(kw)の検索画面は、”広告枠としての価値が高い”ため、多くの広告主が出稿しようと考えます。つまり、需要が高い出稿の設定にすればするほど入札単価は上がり、需要が低いほど単価は下がる傾向になるのです(例えば、リスティング広告でkw「新型iPhone」の検索結果画面に出稿するなど)。

広告枠のオークションはシステムが絶えず自動で行っています。このため広告主は入札額を設定したり調整したりするだけで、余計な操作は必要ありません。しかし実際の広告オークションでは、さまざまな入札項目の設定や広告の品質などによって広告の配信が決まります。

運用型広告の配信ステップ例(リスティング広告の場合)
1.入札各広告主が入札額を設定する
2.検索インターネットユーザーがWeb検索を行う
3.オークションシステムが各広告主の入札額などを競りにかける
4.配信広告が配信される

運用型広告の広告料が決まる仕組み

運用型広告の広告料は、広告主の入札額などによって運用型広告を取り扱うシステム(プラットフォーム)が自動で算出する仕組みです。従って、広告主や掲載メディアが自由に決めることはできません。

また広告料の課金方式は、「クリック課金方式(CPC型)」や「インプレッション課金方式(CPM型」、「インストール課金方式(CPI型)」、「視聴課金方式(CPV型)」などさまざまです。このうちCPC型とCPM型は、運用型広告における課金システムの代表例となるので、しっかり押さえておきましょう。

運用型広告は入札額・ターゲット・出稿するシーズンなどに基づいて自動で配信されるため、広告主は、広告料の単価などを事前に調べた上で配信を決めることはできません。課金の内訳は配信後に初めて広告主が把握できる仕組みになっているため、事前に金額を知ることは不可能です。

課金方式課金の仕組み
CPC型広告がクリックされる度に料金が発生する
CPM型広告が表示された回数(1,000単位)によって料金が発生する
CPI型商材のアプリがインストールされる度に料金が発生する
CPV型ユーザーの動画再生アクションに応じて料金が発生する

※Google広告の広告料については以下のページを参考に
>>どのように広告料は決まる?Google 広告の料金相場や算出方法を解説

クリック課金方式(CPC型)

クリック課金方式は、Cost Per Click(コスト・パー・クリック)の頭文字を取り、CPC課金型とも呼ばれます。この課金方式は、ユーザーが広告をクリック(タップ)して初めて、広告料が発生する仕組みです。たとえ広告がユーザーの端末画面に表示されていたとしても、クリックされない限り料金はかかりません。

「広告主が支払う費用=(クリックされた回数)×(クリック単価)」

CPC型は、クリックというアクションを伴うため費用対効果が非常に明確です。しかし、誤クリックが多い媒体で配信されると無駄なコストが増えてしまったり、競合が多いと単価が高騰したりするデメリットも存在します。

インプレッション課金方式(CPM型)

インプレッション課金型は、Cost Per Mille (コスト・パー・ミル)の頭文字を取って、CPM課金型とも呼称されています。広告が端末画面に表示された回数によって、広告料が決まるパターンです。広告プラットフォームによって細かな課金のタイミングは異なりますが、Cost Per Milleの「Mille」が1,000を表すように、広告表示1,000回を1セットにして課金するシステムが一般的。

「広告主が支払う費用=(広告が表示された回数)×(表示単価)」

CPM型は、クリック率が高い媒体でもコストを抑えて広告を配信できるメリットがあります。一方、広告に対するユーザーの具体的なアクションが把握できないため、広告の効果が見えづらいのも特徴です。

運用型広告の種類

アドテクノロジーの進歩によって、さまざまな広告の種類が生まれています。ここでは、多くのWebマーケターが扱う運用型広告3選を紹介。リスティング広告・コンテンツ連動型広告、SNS広告をそれぞれ解説していきます。

リスティング広告(検索連動型広告)

「リスティング広告」は、ユーザーが検索したキーワードに応じて、検索結果の画面上(下図)などに表示される広告です。検索行動に沿って広告が表示されるため、「検索連動型広告」とも呼ばれます。課金の仕組みはクリック課金方式(CPC型)が一般的。

※リスティング広告については以下のページを参考に
>>リスティング広告とは?ゼロから分かりやすく基礎知識を解説

コンテンツ連動型広告(ディスプレイ広告)

コンテンツ連動型広告(ディスプレイ広告)とは、ユーザーの属性やWebページのアクセス履歴などを解析し、ターゲットの興味・関心と関連性の高い広告を表示させる広告です。

あるトピックについて何度も検索を行っていると、そのトピックに関連する広告が目につくようになったという経験はあるのではないでしょうか。Webページの一部に現れる画像や動画、テキストを含んだ四角い広告枠。これが正にコンテンツ連動型広告です。また特定のユーザーが閲覧した商材を広告として配信し、サイトへの再訪問を促すこうした広告のことを「リターゲティング広告」と言います。

SNS広告

SNS広告は、FacebookやInstagram、TwitterなどのSNS上に掲載される広告のことを指します。画像や動画などバラエティーに富んだ広告フォーマットに加え、蓄積されたユーザー情報による細かなターゲティングが特徴的。また課金の方式も多岐に渡ります。

特にFacebook広告とInstagram広告に関しては、広告管理ツール「Facebookビジネスマネージャー」で複数媒体のSNS広告を一元的に管理できるため、広告運用が非常にスムーズです。

※SNS広告については以下のページを参考に
>>【初心者向け】Instagram広告の基本知識│種類や導入方法を分かりやすく解説!
>>【初心者向け】Facebook広告の基礎知識│メリット・種類・導入を分かりやすく解説!

運用型広告の導入にあたって

運用型広告を始めるには、広告の入稿や、出稿の設定などを行うための広告プラットフォームへの登録が必要です。以前は運用型広告の種類によって、広告のプラットフォームが細分化されていました。しかし現在は、運用主体によってプラットフォームが一元化され、広告の取り扱いがしやすくなっています。

また導入にあたっては、KGI(重要業績評価指標)やCV(コンバージョン)などの具体的値、ターゲット、予算などを必ず社内で調整して下さい。これまで述べたように、運用型広告は手法が多岐に渡ります。綿密な計画を立てずに出稿し、いたずらに広告予算を消費してしまう例も少なくありません。

※Web広告の学習については以下のページを参考に
>>デジタル広告を学ぶ方へ│効果的なWebマーケティングの学習方法とは?

広告プラットフォームの代表例広告の配信媒体
Google 広告Google検索、YouTubeなど
Yahoo!広告Yahoo!JAPANなど
Facebook広告FacebookやInstagramなど
Twitter広告Twitterなど

運用型広告の学習は弊社サービス「デジプロ」を参考に

運用型広告に関する理解は深まりましたでしょうか。アドテクノロジーの発展やWebサービスの多様化などによって、運用型広告は絶えず変化しています。また広告の最適化を行うには、上記以外の内容についても覚えることが山積みです。このため新人マーケターの方は、常に最新情報やノウハウをチャッチアップして下さい。

株式会社Hagakureでは、広告運用の初心者を対象に運用ノウハウを学べるWebマーケティングスクール「デジプロ」を運営しております。また、運用型広告の運用代行も行っています。是非、この機会にサービスの利用を考えてみてはいかがでしょうか。

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