前回ご紹介したIMPRESSION(表示回数)とCTR(クリック率)に引き続き、Webマーケティングの基本的な用語であるCPC・CVR・CPAなどの指標の関係性について解説します。
「Webマーケティングはさまざまな専門用語が飛び交い、習得に時間がかかる」という方も多いのではないでしょうか。
しかし、意味だけでなく各言葉を要素分解すると、根本から理解でき、苦手意識を持つことなく理解できるようになります。
とくに今回ご紹介するCPAを理解すると、広告費用やコンバージョン数など、どこを改善すれば顧客一人あたりの単価をさらに安くできるのかを把握可能です。
ぜひ、広告運用に欠かせない専門用語の構造を知って、具体的な施策立案に役立ててみてください。
目次
Web広告はオークション形式で掲載順位が決まる
CPCやCVR、CPAについて触れる前に、Web広告への理解を深めるため、広告掲載順位の決定方法ついて解説します。
Web広告の掲載順位は、広告にかけられる予算(上限クリック単価)と出稿する広告の品質をもとにした「品質スコア」、そして双方を掛け合わせた「広告ランク」で算出されます。
上限クリック単価とは、その名の通り出稿する広告の1クリックに対して、広告主がお支払い可能なクリック単価の上限値のことです。
基本的に定めた上限クリック単価を超えて広告費用が請求されることはありません。
また品質スコアとは、広告ごとの「推定クリック率」「広告の関連性」「ランディングページの利便性」この3つの条件を総合して算出される値です。
詳しくは、Google 広告 ヘルプの「品質スコアについて」を参考にしてみてください。
また、上限クリック単価と品質スコア、さらには広告ランクによって広告の掲載順位が決まる仕組みを「オークション形式」と呼ぶことも覚えておきましょう。
いまいち理解が追いつかない場合にも安心してください。具体的な計算式を見ていきましょう。
広告ランク=上限クリック単価 × 品質スコア
広告ランクが高いほど、掲載順位が上がるというわけです。
当然、上限クリック単価と品質スコアの両方が高ければ広告ランクは上がりますが、上限クリック単価だけが高くても上位表示されるとは限りません。
むしろ、上限クリック単価が高くなればなるほど、CPC(クリック単価)が高まりCPA(コンバージョン単価)も上昇します。
広告配信では掲載順位の上位を狙うのも大事ですが、いかにCPAを安く抑えるかが大切です。
一例として、以下の3社のケースを参考にしてみてください。
広告主 | 上限クリック単価 | 品質スコア | 広告ランク | 掲載順位 |
A社 | 100円 | 6 | 600 | 1位 |
B社 | 160円 | 3 | 480 | 2位 |
C社 | 80円 | 5 | 400 | 3位 |
上の表にもある通り、たとえ上限クリック単価が低くても、品質スコアが高ければ広告ランクも高まり、掲載順位の底上げにつながります。
例えば、B社のように上限クリック単価が高くても、品質スコアが低ければ掲載順位で上位を取れない場合があり、A社に比べるとCPAも高くなると予想できます。
つまり、上限クリック単価が高いからといって、広告の上位表示に直結するわけではなく、むしろ多くのコストがかかる可能性もあるということです。
【ここまでのまとめ!】
- Web広告の掲載順位は上限クリック単価×品質スコア=広告ランクで決まる
- 上限クリック単価を引き上げたからと言って必ずしも掲載順位が上がるわけではない
- 広告掲載順位を上げるためには、品質スコアを高めることも重要
まずはここまでの基本をおさえておくと、この後解説する「CPC」「CVR」「CPA」の理解が深まります。
各指標の解説①CPC(クリック単価)
CPCとは、「Cost Per Click」の略で、広告を出稿した際に1クリックあたりにかかった費用のことです。
CPCを算出する計算式は以下の通りです。
CPC(クリック単価)=COST(配信費用)÷CLICK(クリック数)
なお、この場合の配信費用とはクリックの合計費用のことを指しています。実際にかかったクリック単価とクリック数を掛け合わせた値のことです。
ここでの注意点は、「CPC≠入札額」であるということです。
CPC入札の場合は、GoogleやYahooの拡張クリック単価を使わない限り、基本的には「CPC<入札額」になります。
またCPCの特徴としては、ターゲティングを広げれば広げるほど、CPCは安くなる傾向にあります。
このようにターゲティングが広がることにより、オークションへの参加機会は増えるため、安い入札額でもオークションに勝てるケースが増えるのです。
ようは「下手な鉄砲も数撃ちゃあたる」ということですね。
その逆もしかりで、ターゲティングを狭めれば狭めるほど、CPCは高くなってしまいます。
クリック単価が決まる仕組みを知っておこう!
多くの方が疑問に感じるかもしれませんが、オークション形式で掲載順位が決まることは理解できたものの、自社のクリック単価はどのように決まるのでしょうか?
ここでは、自社のクリック単価が決まる仕組みについて紐解いていきます。
先ほど紹介した表を参考に、自社のクリック単価が決まる仕組みを理解しておきましょう。
広告主 | 上限クリック単価 | 品質スコア | 広告ランク | 掲載順位 |
A社 | 100円 | 6 | 600 | 1位 |
B社 | 160円 | 3 | 480 | 2位 |
C社 | 80円 | 5 | 400 | 3位 |
自社クリック単価が決まる仕組みは以下の計算式で算出可能です。
自社クリック単価=自社の一つ下の広告ランク÷自社の品質スコア+1
つまり、A社のクリック単価を求めると次の通りです。
480÷6+1=A社のクリック単価81円
クリック単価が81円ですので、広告が100回クリックされれば、8,100円の配信費用が発生する仕組みです。
上限クリック単価は100円ですが、入札単価よりも実際にかかる1クリックあたりのコストは下がっていることが理解できます。
このようにクリック単価が決まる仕組みを理解しておくと、本記事の最後にご紹介するCPAをどのように最適化するのかという問いに明確に答えられます。
各指標の解説②CVR(コンバージョン率)
続いてCVRについて解説します。
CVRとは、「Conversion Rate」の略で、広告をクリックしたユーザーのうち、購入やお問い合わせなど広告の最終成果を達成した割合のことです。
CVRを求める際は、以下の計算式で算出します。
CVR(コンバージョン率)=CV(コンバージョン)÷CLICK(クリック数)×100
CVRは、一般的にCV÷CLICKで導かれる指標ですが、場合によっては母数をCLICKにしないケースがあります。
例えばGoogleの定義では「CV÷インタラクション(操作)」となっているため、動画フォーマットにおいては、視聴も分母に含まれることがあるからです。
ほかにもGoogle AnalyticsにおけるCVRの母数はセッションであったり、アプリ計測ツールの場合の母数はCLICK+VIEWであったりとさまざまです。
そのため、場面に応じた母数をきちんと理解する必要があります。
また各メディア・各フォーマット一律で評価できない場合は、CVRという概念を捨てることも必要です。
CPCもCVRもあくまで中間指標なので、この指標にとらわれる必要はありません。
特にメディア間のCVRの差異については、どうしようもできないことが多いため(Yahooは1%なのに、Googleは5%など)、それぞれの母数の質にも着眼し、この指標をとらえる必要があります。
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各指標の解説③CPA(コンバージョン単価)
最後にCPAです。
CPAとは、「Cost Per Action」の略で、コンバージョンを1件獲得するのにかかった費用を表す指標のことです。
CPAは以下の計算式で求められます。
CPA(コンバージョン単価)=COST(配信費用)÷CV(コンバージョン)
CPAが低ければ、コンバージョンあたりの単価を安く抑えられている目安になりますし、反対に高ければコンバージョン獲得単価が高騰していると判断できますよね。
つまり、CPAは低ければ低いほど、費用対効果の高い広告運用ができているということです。
例えば、リスティング広告を運用していてCPAが高騰している場合、どのような改善策を講じることができるでしょうか?
CPAは、「COST(配信費用)÷CV(コンバージョン)」で求められるとお伝えしましたが、実はさらに要素を分解することでCPAを改善するヒントが見えてきます。
以下の計算式をご覧ください。
CPAは、1CVあたりにかかった費用という指標ですが、CPC(1CLICKあたりにかかった費用)とCVR(1CLICKあたりのCV)からでも算出できるとわかってもらえたでしょう。
このことは、誘導効率とCV効率を掛け合わせても出せるということを意味しています。
つまりはCPAを改善するためには、CPCを安くするか(誘導単価を安くするか)、CVRを高くするか(CV効率を上げるか)の2択しかありません。
これはCPAを改善するためのロジックツリーの最上部に位置する概念であり、この考えなしでは、CPAを改善する施策幅は非常に少なくなってしまいます。
CVRの改善にはコンバージョンを単純に増やすだけではなく、クリック数を増やすことが重要です。
なぜなら、コンバージョンを得るためには広告が閲覧されなければならず、まずはユーザーが広告をクリックする必要があるからです。
クリック数を改善するには、広告内容を見直して品質スコア向上を目指すだけでなく、ターゲットユーザーを惹きつけるクリエイティブの作成が必要となります。
その上で、ランディングページ(LP)を最適化するなど、コンバージョンを増やすための施策が必要です。
このように、CPCとCVRの根本を理解しておくことで、CPAを最適化するために必要な要素や、改善につながる施策の立案ができるようになります。
まとめ
本記事では、Web広告で重要な指標となるCPA・CPC・CVRについて解説しました。
それぞれの計算方法をおさらいします。
CPC(クリック単価)=COST(配信費用)÷CLICK(クリック数)
CVR(コンバージョン率)=CV(コンバージョン)÷CLICK(クリック数)×100
CPA(コンバージョン単価)=CPC(クリック単価)÷CVR(コンバージョン率)
CPAの計算式からもわかるように、重要なのはCPCとCVRの値です。
CPAの値を改善するには、CPCを下げるか、CVRを高めるかもしくは両方の改善に取り組む必要があります。
CPC・CVR・CPAという言葉の意味だけを覚えるのではなく、本質的な意味を理解することで、広告運用の改善につなげられます。
なお、CPCを下げながら、CVRを上げる方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
次回については、さらに踏み込んで解説していきたいと思いますが、その前に、CV(コンバージョン)の決め方についてもしっかり理解する必要があります。
第三回ではCVの考え方・決め方を解説し、第四回で具体的にどのように施策を考えていくのかを解説したいと思います。
また、そのほかのWebマーケティング用語について知りたい場合や、リスティング広告の成果改善につながるポイントを知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
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