コロナ禍で、多くの企業がオフライン集客に難航している昨今。
新たな集客施策として、Web広告運用の導入に参入した企業が増えてきています。
そんななかで、いくつかWeb広告を出稿してみたものの、効果的な運用ができているのか、いまいち分かっていない担当者も多いのではないでしょうか。
Web広告運用での費用対効果を高めるには、施策の目的を可視化して、目的に合った広告を選定するのが肝になります。
そこで今回は、Web広告特化型のWebマーケティングスクール「デジプロ」を運営する弊社が、Web広告の効果分析を目的別に解説します。
本記事を読めば、Web広告運用の効果を最大化する分析スキルが身につくので、ぜひ参考にしてください。
目次
Web広告運用の目的を洗い出す
Web広告運用を進めるにあたって、まずは目的を明確に設定しておきましょう。
目的が不透明なままで進めてしまうと、ターゲティングや分析指標も同じく不透明になるからです。
Web広告運用の目的は、主に以下の3つに分類されます。
- 認知拡大
- 自社サイトへの誘導
- 購入やサービスの申し込み
マーケティングの施策では、「①認知」「②理解」「③検討」の3段階を経て、顧客をナーチャリング(育成)していくのが鉄則です。
つまり、何も知らない顧客に①自社商材について知ってもらい、②自社サイトの情報で理解を深めてもらってから、③購入を検討してもらう、といった流れを作るということです。
1つの戦略で、3つの目的を一度に達成するのは至難の業。
なぜなら、上記3つの目的ごとに、それぞれターゲットが異なるからです。
したがって、上記3つの目的それぞれに対して、適したWeb広告プロダクトを運用する必要があります。
あらかじめ目的を明確化していれば、自社の課題を解決できるWeb広告プロダクトに絞って運用でき、効率的に費用対効果を高められます。
ここでは、それぞれの目的がもたらす集客効果と対象となるターゲット、適した広告プロダクトについて解説します。
認知拡大
認知拡大では、自社について知識がない潜在層のターゲットに、自社商材や企業ブランディングを認知してもらう施策を行います。
Web広告運用の目的が顧客認知であれば、できるだけ多くのユーザーに広告を閲覧してもらうのが大切です。
ターゲティング範囲が広く、ユーザー数の多い広告プロダクトを選定しましょう。
「ユーザーが日常的に利用するプラットフォームはどれか」の観点で、普及率の高いSNSなどに出稿するのが適しています。
多くの潜在層にアプローチできるWeb広告は、以下の3つが代表的です。
- 純広告
- ディスプレイ広告
- SNS広告
上記3つは、ターゲティングの設定次第ではありますが、多くのユーザーに配信できるWeb広告です。
自社サイトへの誘導
自社サイトへの誘導を促すフェーズでは、自社商材に興味を持った顕在層ユーザーを、インターネット上の店舗である自社サイトに集める施策を行います。
したがって、自社サイトへの集客を行う目的であれば、顕在層ユーザーに絞ってターゲティングできる広告プロダクトを選びましょう。
「顕在ニーズを満たすために、顧客はどんなプラットフォームを利用するのか」という視点で、顕在層ユーザーがいる土俵を探すのが大切です。
つまり、検索エンジンやSNSなど、ユーザーが興味・関心を持って、自主的に情報収集を行うプラットフォームのWeb広告プロダクトが適切です。
- リスティング広告
- SNS広告
- 記事広告
上記3つのWeb広告は、顕在層に絞ってターゲティングでき、顧客育成のフェーズに引き上げるための役割を持ちます。
購入やサービスの申し込み
購入やサービスの申し込みが目的の場合、自社商材の検討段階にある購買層のユーザーがターゲットです。
この目的の施策では、自社商材に「関連する」情報から、自社商材「そのもの」の情報を提供する段階に、ステップアップしたユーザーにアプローチします。
そのため、自社サイト流入のフェーズよりも、さらに詳細なターゲティングを行います。
「購買層ユーザーが商材の購入にいたる決め手はどこにあるか」というように、ユーザー視点に立って考えてみましょう。
顧客は、「ふとしたときに欲しい商品のことが気になる」「購入してから後悔しないように精査する」2つの状況を経て、購入にいたります。
つまり、購買ユーザーの興味を惹き続けられる広告プロダクトや、商材自体の魅力を訴求できる広告が適切です。
- リスティング広告
- リターゲティング広告
上記2つは、ユーザーの購買意欲を高めるために選びたいWeb広告です。
Web広告の効果分析で活用すべき指標について
自社のWeb広告運用で達成したい目的を洗い出したら、次は効果的に目的を達成できているかを分析していきます。
ですがその前に、Web広告の効果分析において、基本となる指標を理解しておきましょう。
ここでは、Web広告運用の基礎的な分析指標8種類について解説します。
それぞれの計算方法や、数値に不調が見られる原因を紹介するので、まずは基礎知識を押さえてみてください。
インプレッション数
インプレッション数とは、ユーザーが広告を閲覧した回数を示す指標で、ユーザーの認知が拡大できているかどうかを分析できます。
計算式は、以下の通りです。
PV数(ページビュー数) × 広告表示回数 = インプレッション数
インプレッション数が目標に達しない場合は、広告プロダクトの設定にて、表示回数やターゲティング範囲を増やしてみましょう。
インプレッション数は、単純な広告表示回数と混同されることが多々ありますが、厳密に言うと異なります。
なぜなら、インプレッション数は、広告がユーザーの目に留まった回数を示そうとする指標だからです。
広告がユーザーの目に留まったかどうかは、プラットフォームの基準やUI(操作方法や仕様)によって違いがあります。
例えば、Yahoo!では、ディスプレイ上に広告が表示された時点で、1インプレッションとカウントします。
一方、FacebookをはじめとしたSNS広告などは、タイムラインに表示されないと、1インプレッションとしてカウントしません。
このように、プラットフォームによって、インプレッション数のカウント基準は異なります。
クリック数
クリック数とは、ユーザーが広告をクリックした回数を示す指標のこと。
クリック数を見ることで、広告から自社ページに誘導できた回数を把握できます。
クリック率
クリック率(CTR)とは、広告を閲覧した人のなかで、クリックして自社ページにアクセスした人の割合を示す指標を指します。
クリック率の良し悪しで、広告がユーザーの興味を惹いているか、広告クリエイティブの品質はよいかを分析可能です。
計算式は、以下の通りです。
クリック数 ÷ インプレッション数 × 100 = クリック率(%)
クリック率が不調な場合は、「ABテスト」を行うのがおすすめ。
ABテストとは、同じ訴求内容で、デザインやキャッチコピーが異なる複数の広告を同時に運用し、クリック率の高い広告を比較検証する施策です。
コンバージョン数
コンバージョン数とは、広告から自社サイトに流入したユーザーがコンバージョンに到達した回数を示す指標です。
コンバージョンとは、広告主側が設定した成果を指しますが、商品の購入・サービスの契約など、企業によってさまざまです。
コンバージョン数を見れば、広告ページでの情報提供によって、購買意欲が高まったユーザーの数を把握できます。
コンバージョン率
コンバージョン数(CVR)とは、広告から流入したユーザーのなかで、コンバージョンを達成した人の割合を示す指標のことです。
コンバージョン率は、広告主の利益に直結する数値データのひとつ。
コンバージョン率がよいかどうかで、自社ページで商材の魅力が伝わっているか、ユーザーが使いやすいページかなど、自社ページの品質を分析できます。
計算式は、以下の通りです。
コンバージョン数 ÷ クリック数 = コンバージョン率(%)
コンバージョン率に不調がある場合は、自社ページの「ABテスト」を行いましょう。
また、入力フォームを使いやすく改善するだけで、コンバージョン率が大幅に向上するケースもあります。
インプレッション単価
インプレッション単価(CPM)とは、広告が表示される回数で発生する出稿料金のうち、1インプレッションあたりにかかった費用を割り出す指標です。
インプレッション単価を見ることで、コストに見合う認知拡大効果が得られたか、費用対効果を分析できます。
ユーザーのアクションによる料金の変動はなく、1,000回広告が出稿されるごとに発生する仕組みが一般的です。
計算式は、以下の通りです。
広告表示にかかるコスト ÷ インプレッション数 × 1000 = インプレッション単価
インプレッション単価は、低額であるほどコスパのよい運用ができている傾向にあります。
ですが、ターゲティングが適切か、または競合他社の多さも加味して分析しておくことをおすすめします。
クリック単価
クリック単価(CPC)とは、1クリックあたりの課金料金を示す指標のこと。
広告費用に対して、効率的に自社サイトへの流入数が確保できているかを分析できます。
クリック単価は、課金制であるため、できるだけ低額に抑えられるのが望ましいです。
計算式は、以下の通りです。
広告費用 ÷ クリック数 = クリック単価
クリック単価が低い状態でコンバージョンにつながるのが理想ですが、例えば、リスティング広告などの場合、キーワードの特性上、クリック単価が高騰してしまうケースもあります。
コンバージョン単価
コンバージョン単価(CPA)とは、1回のコンバージョンあたりにかかる広告費用を割り出す指標のことです。
広告費用に対して、効率的に成果にいたる運用ができているか、全体的な広告運用の費用対効果を分析するものです。
計算式は、以下の通りです。
広告費用 ÷ コンバージョン数 = コンバージョン単価
コンバージョン単価についても、平均値が低く抑えられるほど、リーズナブルにコンバージョンを獲得している証拠ですが、設定したコンバージョンが適切なのかも重要。
Web広告で認知拡大を図る場合の分析するデータ
1つひとつの分析指標について基本が理解できたら、早速自社のWeb広告費用を分析してみましょう。
ここでは、認知拡大を目的とするケースのWeb広告分析を解説します。
認知拡大の施策におけるポイントは、できるだけ多くのユーザーに広告を閲覧してもらうことです。
認知拡大を図るWeb広告運用で注目すべきデータは、以下の3つ。
- インプレッション数
- インプレッション単価
- リーチ
まずは、上記3つの指標から、広告プロダクトが適切か、ターゲティングが適切かを分析できます。
上記3つの数値に不調がある場合、単純に1つずつの指標に対して改善策を打つのは得策ではありません。
例えば、インプレッション単価が低いWeb広告で、インプレッション数が不調なケースを考えてみましょう。
インプレッション数が不調というだけで、必ずしもターゲティング範囲の設定を変えるのが最適解とは限りません。
広告を出稿しているプラットフォームに、そもそも自社のターゲットが少ない可能性も考えられます。
こういったケースでは、インプレッション単価が多少高額でも、ターゲットが多いWeb広告に変更した方が効果的な場合があります。
効率的に認知拡大する目的を念頭に置いて、多角的に分析するのが大切です。
Web広告で自社サイトへ誘導する場合の分析するデータ
自社サイトへ誘導する目的でWeb広告運用を行うポイントは、広告でユーザーの興味を惹き、クリックしてもらうことです。
ABテストによって、よりユーザーのニーズに刺さる内容で訴求できる広告を、検証しながら模索していく必要があります。
また、可能な限りクリック単価を抑え、低コストを意識するスタンスも欠かせません。
効果的なサイト誘導ができているかを検証する際に注目する分析指標は、以下の3つです。
- クリック数
- クリック率
- クリック単価
上記3つの指標を見ることで、出稿している広告の訴求が適切か、ターゲティングの範囲は適切かを分析できます。
自社サイトへの誘導では、ターゲティング次第で、コスト・アクセス数どちらにも直接的に関わってきます。
例えば、リスティング広告で考えてみましょう。
クリック数を期待して、検索回数の多いキーワードに広告を出稿したとします。
もしも、競合ひしめく業界だった場合、クリック単価が高騰しがちです。
広告の品質がよく、クリック率がよかったとしても、最終的なコストがかさんでしまえば、費用対効果の高い運用とは言えません。
こういった競合の多いケースでは、少しニッチなキーワードを狙って、ターゲットを絞るのがおすすめです。
ニッチなキーワードは、競合が少ないためクリック単価が低く、顕在ユーザーの感度も高い傾向にあります。
低額なクリック単価でコストを抑え、クリック率も向上できる解決策です。
Web広告で購入や申し込みへ誘導する場合の分析するデータ
購入や申し込みへ誘導する目的でのポイントは、自社ページの使いやすさと、購入検討ユーザーへの適切な訴求です。
お悩みや課題を持つユーザーに対して、自社商材ならどう解決できるのか、魅力が率直に伝わるページを検証する必要があります。
また、ユーザーの離脱を防ぐために、入力フォームを使いやすく改善するのも効果的です。
そういった購入・申し込み促進の目的が果たせているかを分析する指標は、以下の4つ。
- コンバージョン率
- コンバージョン単価
- コンバージョン数
- セッション数
コンバージョン率は広告ページのクオリティーを把握でき、コンバージョン単価はWeb広告運用全体の効果を測ることができます。
例えば、クリック数は目標値まで確保できていて、コンバージョン率に不調が見られるケースを挙げてみましょう。
その場合、まずABテストで検証しながら広告ページの質を上げて、より使いやすい効果的なページを運用します。
そして、ページから離脱したユーザーに、リターゲティング広告で再アプローチをかけることで、コンバージョン率向上を加速できるでしょう。
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