広告代理店をやめて内製化|成功事例から学ぶ7つのポイントと注意点

広告代理店への委託をやめ、自社で広告運用を行う「インハウス化(内製化)」を検討する企業が増えています。しかし、いざ内製化を進めようにも「何から手をつければいいのか」「失敗しないか不安」「他社の成功事例を具体的に知りたい」といった課題に直面している担当者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、広告代理店から内製化へ移行する際のメリット・デメリット、成功事例から見えた失敗しないための具体的な進め方、そして自社に合った体制構築のポイントを解説します。

広告運用を内製化する2つの主な方法

トップ画像

広告運用の内製化を実現する体制構築には、大きく分けて2つのアプローチが存在します。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自社の状況や内製化の目的に合わせて、適した方法を選択することが不可欠です。

1. 人材を新規採用してチームを立ち上げる

一つ目は、広告運用の実務経験を持つ人材を外部から採用し、専門チームを組成する方法です。このアプローチの最大のメリットは、即戦力となる人材を確保できる点にあります。教育コストを抑え、比較的短期間で内製化の体制を軌道に乗せることが可能です。

一方で、デメリットとしては採用コストの高さと、人材獲得の難易度が挙げられます。優秀なデジタルマーケティング人材は市場価値が高く、採用競争が激しいため、求めるスキルを持つ人材を見つけるまでに時間と費用がかかる場合があります。また、採用した人材が自社の企業文化や商材に馴染めるかという点も考慮すべき課題です。

2. 既存社員を育成して専門チームを組成する

二つ目は、社内の他部署で働く意欲のある社員やマーケティング担当者を、広告運用の専門家として育成する方法です。この方法のメリットは、自社の事業や商材、顧客への理解が深い人材が運用を担当するため、事業戦略と連動した施策を展開しやすい点です。採用コストを抑えられるほか、社内に実践的なノウハウが蓄積されやすいという利点もあります。

ただし、育成には時間とコストがかかる点がデメリットです。体系的な研修プログラムや、指導役となるメンターの存在が不可欠であり、担当者が一人前になるまでには一定の期間を見込む必要があります。OJT(On-the-Job Training)のみで育成しようとすると、知識が断片的になったり、非効率な運用方法が定着してしまったりするリスクも伴います。

体制構築の方法メリットデメリット
人材の新規採用即戦力の確保、短期間での体制構築採用コストが高い、人材獲得が難しい、カルチャーフィットのリスク
既存社員の育成事業理解が深い、採用コストが低い、ノウハウが社内に蓄積育成に時間とコストがかかる、体系的な教育プログラムが必要

広告代理店から内製化へ移行するメリット・デメリット

研修の導入目的とメリット

代理店への依存から脱却し、内製化へ舵を切ることは、企業にとって大きな決断です。その判断を正しく行うためには、内製化がもたらす光と影、つまりメリットとデメリットの両面を正確に理解しておく必要があります。

1. コスト削減と費用対効果の改善

内製化の最も分かりやすいメリットは、代理店に支払っていた手数料を削減できる点です。代理店手数料は広告費の15%〜20%が相場であり、この費用がなくなることで、同じ広告予算でもより多くの広告出稿が可能になります。削減したコストを広告費に再投資したり、他のマーケティング施策に振り分けたりすることで、全体的な費用対効果の改善が期待できます。

2. 施策実行のスピード向上

自社内に運用チームを持つことで、施策の意思決定から実行までのスピードが格段に向上します。代理店を介する場合、コミュニケーションや確認作業に時間がかかり、市場の変化や競合の動きに迅速に対応できないことがありました。内製化すれば、社内での簡単な確認だけでキャンペーンの変更や新しい広告クリエイティブのテストなどを即座に実行でき、PDCAサイクルを高速で回すことが可能になります。

3. 社内へのノウハウ蓄積と人材育成

広告運用を自社で行うことで、成果データや運用ノウハウがすべて社内に蓄積されます。どの広告がなぜ成功したのか、どのようなユーザー層に響くのかといった知見は、企業の貴重な資産となります。また、運用担当者が日々スキルを磨くことで、デジタルマーケティングに精通した人材が育ち、組織全体のマーケティング能力の底上げにも繋がります。

4. 事業戦略との連携強化

内製チームは、営業部門や商品開発部門など、社内の他部署と密に連携できます。新商品のリリースや販売戦略の変更といった情報をリアルタイムで共有し、広告施策に即座に反映させることが可能です。代理店では把握しきれない社内の細かな事情や事業の方向性を汲み取った、一貫性のあるマーケティング戦略を展開しやすくなります。

5. 初期コストと体制構築の負荷

一方で、内製化にはデメリットも存在します。まず、専門人材の人件費や、広告運用に必要なツール(分析ツール、レポーティングツールなど)の導入費用といった初期コストが発生します。特に経験者を採用する場合は、相応の給与水準が求められます。体制が整うまでの期間は、業務負荷が増大する可能性も考慮しなければなりません。

6. 最新情報のキャッチアップの難しさ

広告媒体の仕様変更やアルゴリズムのアップデートは頻繁に行われます。常に最新の情報を収集し、運用に反映させていく必要がありますが、専任の担当者が少ない場合、日々の運用業務に追われて情報収集が後手に回ってしまうリスクがあります。複数の媒体を扱う代理店に比べて、情報の幅や深さで劣る可能性は否定できません。

7. 属人化のリスク

運用ノウハウが特定の担当者に集中してしまう「属人化」も、内製化における大きな課題です。その担当者が休職や退職した場合、広告運用の品質が著しく低下したり、最悪の場合はアカウントの運用が停止してしまったりする危険性があります。業務のマニュアル化や複数人担当制など、属人化を防ぐための仕組み作りが不可欠です。

実際に国内企業における内製化の成功事例として有名なケースも交えながら、ご紹介いたします。

会社名株式会社オルビス
成果CPA 約20%改善・CVR最大2倍
当時の課題2022年、競合各社が広告出稿を一斉に強化。自社内では「勝ちパターン」が固定化され、新規顧客獲得数の伸びが鈍化。代理店任せでは意思決定のスピードと顧客理解の精度に限界を感じていた。
内製化のプロセスクリエイティブの代理店依存度が低いリスティング広告から着手。2020年6月にインハウスデザイナーを採用、2021年4月にはCRM領域も内製化し増員。現在はディレクター3名+デザイナー3名体制に。代理店は難易度の高いバナー・LP制作に特化させ、「何を伝えるか」の意思決定は完全に自社へ移管。
得られた成果・CPA 約20%改善(検索連動型広告の内製化後)
・CVR 約2倍(男性向け訴求コピーの最適化)
・CVR 約1.2倍(LPへのUGC導入・季節対応バナー改善)
・意思決定スピードの大幅向上と新規顧客接点の拡大
西日本シティ銀行広告コスト4割削減・ローン申込1.6倍
当時の課題デジタル広告の運用をすべて代理店に委託しており、施策の意図や効果の根拠を社内で理解・検証できない状態が続いていた。代理店への依存が固定化し、コスト対効果の適正評価もできていなかった。
内製化のプロセス外部支援を活用しながら社内担当者の育成とKPI設計を並行実施。代理店への全面依存から脱却し、運用・改善のPDCAを社内で回せる体制を段階的に構築。計測基盤の整備と担当者のスキルアップを同時に進めた。
得られた成果・広告コスト 前年比4割削減
・デジタル広告経由のローン申込件数 1.6倍
・マーケティング投資ROIの大幅改善
・社内に計測・改善ノウハウを蓄積

【出典:日経クロストレンド(メイン記事)実例で解説、オルビスの広告クリエイティブPDCA大公開!【セミナー体験レポート株式会社メンバーズ コラム

失敗事例から学ぶ、広告運用内製化の進め方7つのポイント

研修の成功事例イメージ

多くの企業が内製化を目指す一方で、計画通りに進まずに失敗に終わるケースも少なくありません。ここでは、過去の失敗事例から得られる教訓を基に、内製化を成功に導くための7つの重要なポイントを解説します。

1. 内製化の目的とKPIを明確にする

「代理店手数料の削減」だけを目的に内製化を進めると、施策が縮小均衡に陥り、事業成長が鈍化する危険があります。なぜ内製化するのか、その目的を「施策のPDCA高速化によるCVR改善」「事業戦略と連動した顧客獲得」など、より上位の目標に設定することが重要です。その上で、目的の達成度を測るための具体的なKPI(重要業績評価指標)を定め、関係者全員で共有します。

2. 代理店との契約内容と移行計画を確認する

現在の代理店との契約内容、特に契約期間や解約条件を事前に確認しておく必要があります。また、広告アカウントの権限が誰にあるのかも重要な確認事項です。アカウントの所有権が代理店側にある場合、過去のデータを引き継げない可能性があるため、契約解除の前に自社アカウントへの移行手続きを必ず行いましょう。

3. スモールスタートで段階的に移行する

いきなり全ての広告運用を内製化するのはリスクが高い選択です。まずは特定の媒体や一部のキャンペーンから内製化を始め、徐々に範囲を広げていく「段階的移行」が現実的です。例えば、運用が比較的シンプルな検索広告から始め、ノウハウが溜まってきたらディスプレイ広告やSNS広告へと展開していく方法が考えられます。このアプローチにより、リスクを管理しながら着実に経験を積むことができます。

4. 適切な人材の確保・育成計画を立てる

内製化の成否は、運用を担当する「人」で決まると言っても過言ではありません。前述の通り、経験者を採用するか、既存社員を育成するかの選択肢がありますが、いずれにせよ長期的な視点での育成計画が不可欠です。特に既存社員を育成する場合は、OJTだけでなく、体系的に学べる外部の研修プログラムなどを活用し、効率的にスキルアップできる環境を整えることが成功への近道です。

5. 必要なツールや環境を整備する

効率的な広告運用には、適切なツールの活用が欠かせません。具体的には、日々の実績を可視化するレポーティングツール、競合の出稿状況を調査するツール、広告クリエイティブの管理ツールなどが挙げられます。これらのツールを導入することで、手作業による工数を削減し、担当者が分析や戦略立案といった、より付加価値の高い業務に集中できる環境を作ります。

6. 情報収集とノウハウ共有の仕組みを作る

広告業界のトレンドや媒体のアップデート情報は日々変化します。担当者が一人で情報を追いかけるのには限界があるため、チーム内で情報共有を行う仕組みを構築することが大切です。定期的な勉強会の開催や、チャットツールでの情報共有チャンネルの設置など、組織として最新情報にキャッチアップし続ける文化を醸成します。

7. 代理店との良好な関係を維持する

代理店との契約を完全に解消するのではなく、新たなパートナーとして関係を再構築する選択肢も有効です。例えば、日々の運用は自社で行い、戦略立案や高度な分析、新規媒体への展開といった専門性の高い領域のみを代理店にコンサルティング形式で依頼する、といった「ハイブリッド型」の体制です。これにより、代理店の持つ専門知識や客観的な視点を活用しながら、内製化のメリットを享受できます。

実践的なスキル習得なら、法人研修が充実したデジプロへ

インハウス化・法人研修のイメージ

広告運用の内製化を進める上で最大の壁となるのが、「実践的なスキルを持つ人材の育成」です。即戦力となる運用経験者の採用は難しく、未経験者をOJTだけで育成するには膨大な時間がかかり、成果が出る前に頓挫してしまうケースも少なくありません。こうした課題を解決し、内製化を成功に導くためには、体系的かつ実践的な外部研修の活用が有効な選択肢となります。

デジプロでは、企業の広告運用内製化を支援するための法人研修プログラムを提供しています。

1. 現場で使える実践的なカリキュラム

デジプロのカリキュラムは、理論の学習に留まらず、実際の広告管理画面を操作しながら学ぶ実践形式が中心です。広告アカウントの設計からキーワード選定、入札戦略、効果測定、改善提案まで、実務に即したスキルを体系的に習得できます。明日からすぐに現場で使える知識と技術を身につけることを目的としています。

2. 現役マーケターによるマンツーマン指導

研修を担当するのは、厳しい基準をクリアした現役のプロマーケターです。豊富な実務経験を持つ講師が、受講者一人ひとりのレベルや課題に合わせてマンツーマンで丁寧に指導します。これにより、集合研修では難しい個別の質問や、自社特有の課題に関する相談も可能です。

3. 企業ごとの課題に合わせた研修カスタマイズ

決まったカリキュラムを提供するだけでなく、企業の事業内容やマーケティング課題、受講者のスキルレベルに合わせて研修内容を柔軟にカスタマイズします。BtoB、EC、店舗集客など、業界特有の事情を考慮した上で、最も成果に繋がりやすい運用手法を学ぶことが可能です。

4. Google広告からSNS広告まで主要媒体を網羅

Google広告やYahoo!広告といった検索広告はもちろん、Facebook、Instagram、Twitter、LINEなど、主要なSNS広告の運用も網羅しています。複数の広告媒体を組み合わせた統合的なマーケティング戦略を立案・実行できる人材を育成し、代理店に依存しない強固なマーケティング組織の構築を支援します。

導入事例の一覧はこちら: https://degipro.com/case/