GoogleやYahoo!などの検索エンジンからの流入を増やす施策全般のことを、SEM(Search Engine Marketing=検索エンジンマーケティング)といいます。
WEBマーケティング担当者にとって、SEOやリスティング広告は避けては通れないものでしょう。検索エンジンでの自然検索(オーガニックサーチ)経由の流入を増やすための「SEO施策」や、検索結果の広告枠に自社サイトへの誘導を表示させる「リスティング広告」をぞれぞれ別々に行っている企業も多いものですが、どちらも「検索エンジンを使うインターネットユーザー」をターゲットにしているという共通点があります。
検索エンジンからの流入を増やすために総合的に戦略立てをするための言葉の解説と、戦略立ての方法について解説します。
目次
SEMとは?SEOとは何が違う?
「SEM」とは、Search Engine Marketingの頭文字をとった略称で、「検索エンジンマーケティング」という意味です。自然検索流入を増やすための「SEO」や、「リスティング広告」といった、検索エンジンを活用したマーケティングの総称です。
同じSとEから始まる「SEO」と混同しやすいかもしれませんが、上の図の通り、SEOはSEMの一部です。
SEOとは?定義と特徴を解説
SEMの大きな柱である「SEO」について解説します。
SEOの定義とは
「SEO」は、Search Engine Optimizationの頭文字をとった略称で、「検索エンジン最適化」という意味です。GoogleやYahooの検索結果ページに自社のサイトを表示させるためには、検索エンジンへの「最適化」が必要です。キーワードに対して最適であると検索エンジンが判断したサイトが上位に表示される仕組みになっており、直接検索結果ページをコントロールすることはできません。サイトの構造やコンテンツの中身などを、検索エンジンの要件を満たしたものに「最適化」する必要があります。
SEO施策とは
SEO施策とは、検索結果にサイトのコンテンツを表示させ検索経由での来訪(自然検索流入/オーガニック流入)を増やす施策のことです。
日本の検索ユーザーの80%がGoogleの検索を利用しているため(2020年現在)、SEO施策をする際にはGoogleの検索エンジン向けの対策をすることが多いでしょう。
「完璧な検索エンジンとは、ユーザーの意図を正確に把握し、ユーザーのニーズにぴったり一致する答えを返すものである」というのがGoogleの基本方針であり、Googleの検索エンジンは日々アップデートされ、アルゴリズムは改良され続けています。
「検索ユーザーにとって有益な情報が掲載されているサイトである」と検索エンジンに認識してもらう必要があるため、検索エンジン側のガイドラインに沿ったサイトであることが求められます。
SEO施策の特徴①掲載費用が無料
まず、掲載自体に費用が掛からないというのが特徴です。前述のとおり、検索ユーザーの利便性を最優先にしているサービスのため、費用をかけて表示させる、というものではありません。掲載に費用をかけるのではなく、サイトの構造やコンテンツを「検索エンジンに最適化させる」ためにコストを払っていく施策になります。
SEO施策の特徴②即効性は期待できない
上記の通り、掲載をコントロールできるものではありません。狙ったキーワードで狙ったとおりの順位に掲載できるものではなく、長期的な施策となることを覚悟する必要があります。大体の目安となりますが、施策を開始してからある程度の成果が見えてくるまで、最短でも3か月はかかります。
SEO施策の特徴③コントロールができない
広告ではないので、ユーザーによって出し分けるような設定はできません。また、検索結果に表示される「ページタイトル」と「ディスクリプション」と呼ばれる説明文の文言を直接編集することはできません。Google公式のガイドラインに沿ってサイト内に記載するような対応はできますが、広告のように直接文言の指定をしたり、すぐに反映させることはできません。
リスティング広告とは? 定義と特徴を解説
SEMのもう一つの柱である「リスティング広告」について解説します。
「リスティング広告」という言葉は検索連動型広告のほか、ディスプレイ広告、動画広告、リターゲティング広告などGoogle/Yahoo広告全般を指す場合もありますが、SEMにかかわってくるのは主に検索連動型広告です。ここでは、検索連動型広告について解説します。
リスティング広告(検索連動型広告)とは?
「検索連動型広告」とは、検索結果ページに表示される広告のことです。入札型の運用型広告で、表示させるキーワードと入札単価、タイトルと説明文を設定して運用します。
掲載される順位は、入札金額と広告クリエイティブの品質によって決定まります。
リスティング広告の特徴①掲載費用がかかる
広告のため、掲載には費用が掛かります。入札額はキーワードによって、また競合の出稿状況によって異なります。クリック単価が100円程度のものもあれば、8,000~9,000円程になる場合もあります。ECサイトである程度の成果を求める場合、大体の費用の相場は月に20~30万程度といわれることもあります。
費用相場については、下記の記事で詳しく書いているので、ぜひ参考にしてください。
リスティング広告の特徴②即時性が期待できる
競合企業よりも高い金額で入札すれば、その日のうちに上位表示させることも可能です。入札制となるので、雑誌の広告のように狙った箇所にいつでも必ず表示させるということはできませんが、季節性のあるキーワードで狙った時期に上位に表示させたい場合や、期日のあるイベントに関するキーワードなど、スピードを求める場合には特に有効でしょう。
リスティング広告の特徴③コントロールができる
どのキーワードで上位にあげたいのかというキーワードのコントロールや、どの年代のどの地域の人に表示させたいのかなどのターゲットの設定が可能です。また、表示させる「ページタイトル」や「ディスクリプショ」と呼ばれるン説明文の設定もできます。ABテストも可能なので、どの文言が効果が高いのか検証も可能です。
SEOとリスティング広告の違いと戦略の立て方
SEO、リスティング広告(検索連動型広告)の違いと、複合的なSEM戦略を立てて使い分けをする方法を解説します。
SEOとリスティング広告の違い
リスティング広告 | SEO | |
掲載場所 | 検索結果の広告枠に表示させる | 検索結果として表示される |
CTR | △低い | 〇高い※検索結果の上位に表示されるほど上がる |
費用 | 掲載費用が掛かる | 掲載には費用が掛からない |
即時性 | 〇競合の入札金額より高く設定すれば当日に上位表示させることも可能 | △一定の成果が出るまでは3か月以上かかるというのが定説になっている |
ターゲット設定 | 〇コントロール可能 | ×検索エンジンの仕様に沿って表示されるのでコントロール不可 |
リスティング広告は狙ったキーワードの検索結果に表示させることが可能で、時期のコントロールもできます。表示させるターゲットの設定もできるほか、タイトルやディスクリプションと呼ばれる説明文も設定できるため、ABテストも可能です。ただ、広告枠への表示になるので掲載費用も掛かり、CTRはSEOと比べると低い傾向があります。
SEOは掲載のコントロールが難しく、一定の成果が出るまで3か月~1年程度はかかります。ただ掲載費用が掛からないため、幅広いキーワードでの対策が可能です。文言のコントロールやターゲットの設定はできませんが、検索ユーザーのニーズに合った情報を提供すれば、CTRの低い検索上位に表示されることもあります。
リスティング広告が有効な場面
コンバージョンにつながるキーワードが明確で、キーワード数が絞られて場合は、リスティング広告が有効でしょう。
また、イベントごとに関連したキーワードで表示させたいなど即時性を求める場合にもリスティング広告が有効です。
SEO対策が有効な場面
コンバージョンにつながるキーワードが幅広く数が多い場合にはSEO対策が必須です。幅広いロングテールキーワードで集客し、認知拡大を狙ったコンテンツマーケティングの活用も検討すると良いでしょう。
SEOでは狙ったキーワードで順位を上げることは容易ではないものの、上位に入ると、広告よりもCTRが良い傾向があります。
特に、検索エンジンの利用シーンは、何か困りごとなど課題がある場合が多く、そのようなキーワードでは特に集客がしやすくなります。そのため、コンバージョンに近いキーワードや、商品やサービスに関連のある、ユーザーの課題に関するキーワードについてはSEO対策をしておく必要があります。
SEM戦略のポイント
リスティング広告とSEOはそれぞれ対策の方法が異なりますが、どちらも検索エンジンのユーザーを対象にした施策であることには変わりありません。
どちらか片方だけ実施するのではなく、SEMを総合的に考えた上で、両者の特性を活かして使い分けをする必要があります。
まずは自社の商品やサービスの購買へ至る導線を見直し、ユーザーがそれぞれのフェーズでどんな検索行動を取るのかを見直してみましょう。
次に、自社の商品やサービスに関連するキーワードを洗い出して、上記の特性を見直しながら、リスティング広告が適しているキーワードとSEOが適しているキーワードに仕分けをして、それぞれ戦略的に対策を行いましょう。
例えば、コンバージョンに近いキーワードではリスティング広告とSEOを両立させながら、ユーザーの課題にまつわる幅広いキーワードはSEO対策をしていく、という方法があります。また、SEO対策をする際に複数のキーワード候補で迷った場合は、リスティング広告をテスト的に活用し、どちらのキーワードがより効果的か検証するような使い方も可能です。
戦略立てから実行までできるマーケターの育成には「デジプロ」の講座を活用しよう
SEM戦略では、SEOも広告それぞれの特性を理解した上で使い分け、活用することが大切です。しかし、リスティング広告もSEOもどちらも専門性が高く、変化も早いため最新情報のキャッチアップも難しいものです。
どちらも深く理解して戦略立てができる人材はなかなか見つからないのではないでしょうか。
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