一般的な指標の理解、解釈はウェブマーケティングにおける基礎である一方で、意外にもちゃんと理解しきれていない人が多いように感じます。
今回はIMP、CLICK、CTR、CPC、CVR、CPAなどの一般的な指標について解説し、その理解を深めることによって、新しいマーケティングの打ち手を見つける補助ができればと思っています。
第一回ではIMP・CLICK・CTRまで、第二回ではCPC・CVR・CPAまで、第三回ではそれらの指標を元にした施策バリエーションについて解説する予定です。
各指標の解説①IMPRESSION(表示回数)
IMPRESSION(以下、IMP)は、インターネット広告がどれくらい表示されたか、という指標です。
ここで注意したいポイントは、IMPは「実際にユーザーが広告を視認した回数」ではありません。
インターネット広告は広告サーバーを通じて、特定の広告枠に広告データを送信することによってユーザーに届きます。
IMPRESSIONはあくまで「特定の広告の読み込みが完了した回数」であるため、必ずしもユーザーが視認したというわけではありません。
またVIEW IMPRESSIONという「ユーザーが視認した広告の回数」にあたる指標がありますが、この指標は各広告媒体によって定義が様々であるため、使用する際は注意が必要です。
特にこのIMPという指標は、インターネット広告をかじったくらいの人に軽視されることが多く、少しだけ知っている人は後述のCTR、CVRの方が意識しがちです。
しかし、IMPはすべての広告の起点であり、この指標を理解するだけでウェブマーケティングの施策の幅は広がります。
一般的に質の高いIMPを増やすことは、ユーザーの反応率を高めることができます。
CTRやCVRはこのIMPの質を示す一つの指標でしかありません。
IMPの質という考え方は、あくまでCTR、CVRの概念を裏返しているだけのように思えますが、このことをきちんと理解することによって、例えば「今のパフォーマンスを維持しながらリスティング広告を拡大したい」という状況において、「今のIMPの質を維持しながら新しいキーワード(ターゲティング)を探す」という思考につなげることができるようになります。
またこの図にある①と②は、その商品・サービスの需要によって、ユーザーの反応率が変わるということを示しています。
①は反応のハードルが高い不動産や旅行などであることが多く、②は反応のハードルが低い無料アプリなどであることが多いです。
この曲線が意味することは、①はよりIMPの質を高める(ターゲティングの質を高める)必要があり、②はIMPの質よりも別の方法で反応率を高める方法を模索しないといけないということです。
このようにIMPだけでも、理解しなければいけないことが多くあるということをご理解いただけたでしょうか?
各指標の解説②CLICK・CTR(クリック数・クリック率)
続いてはCLICK・CTRです。
CLICKとCTRは密接な関係があるため、まとめて解説をおこないます。
CTRはIMP÷CLICKから導かれる指標で、広告表示に対してどれほどのクリックが発生したか、という指標になります。
CTRは広告に対してユーザーが行う最初期の反応であるため、一見ウェブマーケターにとって認知・理解度が高い指標ですが、本当に理解している人は少ないのではと思っています。
ここで質問です。
「なぜCTRを上げることは、ウェブマーケティング上良いことなのでしょうか?」
これを明確に答えられる人は、どの程度いるでしょうか?
多くの人の回答は、
CTRが上昇することによって広告媒体が定義している「広告ランク」や「関連度スコア」が高まり、より低い入札単価で広告表示ができる。
でしょう。
でも正直これだけでは7割正解です。
もちろんCTRは多くの媒体で、広告の質を評価する指標ではありますが、広告の質は媒体側のほぼブラックボックスな定義であるため、前述で「IMPの質」という曖昧な解説をした上で申し訳ないのですが、なかなかそれだけを頼りにインターネット広告を改善することはできません。
CTRの本質は、
同一のIMP量だった場合、入札単価を多少下げても同一のCLICK量が見込める
ということです。
具体的には画像の表の通りで、CTRが1%から2%になった場合、それに応じてCLICK数も2倍になります。
そのとき同一の広告予算だった場合、入札を下げる必要性が出てきます。
そうなると、結果的に低単価でより多くのCLICKを生むことができることになります。
CTRの本質はこの部分で、もちろん広告ランク・関連度スコアへの影響はあるものの、これが最も地に足のついた解釈となります。
またCTRが変化するケースにおいては、IMP量がどうなっているかという点も重要な観点となります。
Google AdsやFacebookなどにおいては、CTRが上がるとIMPも上がることが非常に多いです。
これは広告ランクや関連度スコアによる影響で、品質が高い広告はより多くのユーザーにIMPしようと広告媒体側のロジックが働きます。
その副作用で多くのユーザーにリーチしようとした結果、そういったユーザーには広告が刺さらず、結果CTRは維持、といったケースもあります。
何が言いたいかというと、CTRに関連する施策を打った場合、着目すべきは以下の3点ということです。
- 同一予算内だったとき、CPCは下がったか
- IMP量に変化はあったか
- ターゲットユーザーに変化はあったか
特に3点目は広告媒体だけでは判断しづらいですが、RTBが主流のインターネット広告においては非常に重要な観点です。
まとめ
今回はIMP・CLICK・CTRに焦点を絞って解説をおこないました。
質を意識したIMP、CTRの本質、CTRとRTBの関係性について理解が深めることはできたでしょうか?
一つの結果から多くの示唆を得るためには、それぞれの指標の特性や本質を理解する必要があります。
この記事を通して、新たな発見があればとても嬉しいです。
次回はCVRやCPAについて解説していきます。