類似ユーザーターゲティングとは?メリットやベストプラクティスを解説
類似ユーザーターゲティングとは、広告主の設定する任意のユーザーに類似したユーザーに対して広告を配信することのできるターゲティング手法です。ターゲティング自体は広告配信プラットフォームのシステムが行うので、時間や手間を抑えながら高い水準でコンバージョンに繋げることができるというメリットがあります。
- 類似ユーザーターゲティングとは
- 類似ユーザーターゲティングの仕組み
- 類似ユーザーターゲティングのメリット
- 類似ユーザーターゲティングのベストプラクティス
- まとめ
類似ユーザーターゲティングとは、広告主の設定する任意のユーザーに類似したユーザーに対して広告を配信することのできるターゲティング手法です。
ターゲティング自体は広告配信プラットフォームのシステムが行うので、手間や時間をかけることなく効率的にコンバージョンに繋げることができます。
この記事では、類似ユーザーターゲティングの仕組みなどの基本的知識やこのターゲティング手法を最大限活用するためのベストプラクティスを解説しています。
類似ユーザーターゲティングとは
類似ユーザーターゲティングとは、既存の顧客やコンバージョンしたユーザーの属性や行動データを基に、同様の特徴を持つ新たな潜在顧客に広告を配信する手法です。
例えば、自社サイト内でコンバージョンに至ったユーザーの傾向として、20代男性で「マーケティング」というキーワードの検索履歴があるという特徴があるとします。その場合、自社サイトに訪問したことのない20代男性で「マーケティング」という検索履歴がある人に対して広告を表示することでクリックの可能性が高まります。
この手法を用いることで、企業は新しい見込み顧客に効果的にリーチし、コンバージョン率の向上を図ることができます。
類似ユーザーターゲティングの仕組み
類似ユーザーターゲティングは、おおまかに
- データの収集
- 類似ユーザーリストの抽出
- 広告配信
の3ステップで機能しています。
以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
1. 顧客データの収集
まずは、商品を購入したユーザーなどコンバージョンの顧客データを収集します。
顧客データには、年齢や性別、住所などが含まれるデモグラフデータや、閲覧履歴や購入履歴を含む行動履歴データ、興味関心やライフスタイルなどが含まれるサイコグラフィックデータのような情報が含まれます。
2. 類似ユーザーの抽出
収集した顧客データの中から、類似した特徴を持つユーザーを抽出します。具体的には、機械学習などの技術を用いて過去のデータからパターンを学習する方法などがあります。
例えば、自社のAという商品を購入したユーザーの多くはBという商品にも購入履歴がある、自社のサービスを購入したユーザーは購入前に競合他社であるC社のサイトの閲覧履歴があるなどといったパターンを探します。
3. 広告配信
最後に、抽出された類似ユーザーに対して広告を配信します。
先ほどの例でいうと、Bという商品の購入履歴があるユーザーに対してAの広告を配信する、C社のサイトを閲覧したユーザーに向けて自社サービスの広告を配信するなどです。
これにより、広告の関連性が高まり、クリック率やコンバージョン率の向上が期待できます。
類似ユーザーターゲティングのメリット
ここからは、類似ユーザーターゲティングを使用することによる主要なメリットを解説してきます。
ターゲティングが容易
類似ユーザーターゲティングを使用する際、顧客データを基に自動的に類似ユーザーを抽出するため、手動での細かなターゲティング作業が不要です。そのため、ターゲティングの手間が少なく、比較的ターゲティングが容易であると言えます。
従来のターゲティング手法では、年齢、性別、地域などの属性情報に基づいてターゲティングを行うことが一般的でした。しかし、属性情報だけで顧客を正確に把握することは難しく、ターゲティングの精度が低くなる可能性があります。
一方類似ユーザーターゲティングでは、顧客の購入履歴や行動履歴などのデータを分析することでよりコンバージョンに繋がりやすいターゲティングを行うことができます。
他のターゲティング手法と比べて容易に設定でき、コンバージョンにもつながりやすいというのが類似ユーザーターゲティングの大きなメリットの一つです。
想定していなかったターゲットにリーチできる
類似ユーザーターゲティングでは、既存の顧客データを基に、類似した行動パターンや特性を持つ新しいユーザーを見つけ出すアルゴリズムを使用します。そのため、手動のターゲティングでは想定していなかったユーザーでも、同じ興味関心や購買行動を持つ場合には広告が表示されます。
また、類似ユーザーターゲティングではユーザー自身もまだ認識していない潜在的なニーズや関心に応じて広告を表示することができます。従来のターゲティング手法では、潜在ニーズを持つユーザーに対してアプローチする方法はほとんどありませんでした。
しかし類似ユーザーターゲティングを使用することで、企業が想定していなかったものの、行動履歴やサイコグラフィックデータなどから潜在的には関心を持っている可能性があると判断されるユーザーにリーチすることができるのです。
高いコンバージョン率
既存顧客と似た特徴を持つユーザーは既存顧客と同じような購買行動を取る可能性が高く、そのユーザーに広告を配信することでコンバージョン率が高まります。
従来のターゲティング手法では、広告の内容に興味のないユーザーに広告を配信してしまう可能性もあり、その場合はコンバージョン率が低くなる場合があります。特に、認知度の向上を目的としたデモグラフィックターゲティングやトピックターゲティングの場合、コンバージョン率は下がる傾向にあります。
類似ユーザーターゲティングでは、既存顧客と似た特徴を持つコンバージョンに繋がる可能性の高いユーザーにピンポイントで広告を配信するため、高いコンバージョン率が期待できるのです。
時間の節約
類似ユーザーターゲティングでには、時間の節約ができるというメリットもあります。これは、ターゲティングの設定やデータ分析の手間を省くことができるからです。
類似ユーザーターゲティングを行う場合、学習元となるソースオーディエンスの範囲を指定し、そのオーディエンスの特徴と類似したオーディエンスに機会が自動で広告を配信する仕組みになっています。広告主が行うのは、ソースオーディエンスの指定と類似度の設定のみです。
さらに、ソースオーディエンスは特定商品のコンバージョン履歴があるユーザーや特定URLへの訪問履歴があるユーザーなどシステム側が用意しているものが多数あります。このように、大部分は機械によって自動化されています。
類似ユーザーターゲティングは、自動化されたシステムによって運用されるため、必要な手動での作業が少なく、時間を大幅に節約することができます。
類似ユーザーターゲティングのベストプラクティス
実際に類似ユーザーターゲティングを活用することになった際、どのような点に気を付ければよいのか解説していきます。
高品質な顧客データを使用する
類似ユーザーターゲティングの効果は、顧客データの質に大きく左右されます。
高品質なデータを使用するには、正確性、最新性、網羅性の3つの要素に気を付ける必要があります。
正確性とは、ソースオーディエンスに使用する情報が正確であるかどうかということです。住所やメールアドレス、URLなどが間違っていないか確認をしましょう。また、住所やメールアドレスなどのデータはユーザーが自ら入力したもののほうが正確性が高いと考えられます。
最新性については、行動履歴やデモグラフィックデータなどが最新のものになっているかどうかということです。例えば、ソースオーディエンスに使用するコンバージョン履歴が3年前のものである場合、あるユーザーは3年の間に商品を購入したにもかかわらず、システムが新規顧客であるという判定をして広告を配信し続けてしまう恐れがあります。データの更新を定期的に行い、最新性を保つようにしましょう。
網羅性とは、ターゲットとなる顧客全体のデータが含まれており、漏れがないかどうかを指します。ターゲットを明確に設定し、ソースオーディエンスに入力するにはどのようなデータが必要か確認する必要があります。
以上の3要素に留意することでデータの品質を保つことができます。
適切な類似ユーザーモデルを選択する
ソースオーディエンスに適切な類似ユーザーモデルを選択することも非常に重要です。
類似ユーザーターゲティングには、さまざまな類似ユーザーモデルがあります。代表的なモデルとしては、という購入履歴ベース、行動履歴ベース、属性ベースなどです。
購入履歴ベースの類似ユーザーモデルは、広告に使われている商品を購入したことがあるユーザーをソースオーディエンスに設定し、類似した特徴を持つユーザーをターゲティングするモデルです。
行動履歴ベースの類似ユーザーモデルは、過去に訪問したページや検索キーワードなどの行動履歴に基づいて、類似した特徴を持つユーザーをターゲティングするモデルです。
属性ベースの類似ユーザーモデルとは、年齢、性別、住所などのデモグラフィックデータに基づいて、類似した特徴を持つユーザーをターゲティングするモデルです。
上記で紹介したモデル以外にも、類似ユーザーオーディエンスに使用できるデータは多数あります。
自社の商品やサービスの特徴、広告キャンペーンの目標などを加味して適切なデータを選択しましょう。
類似ユーザーの類似度を調整する
類似ユーザーターゲティングでは、類似ユーザーの類似度を調整することができます。この設定を行うことで、リーチの範囲や予算のコントロールを行うことができます。
類似度が高いほどリーチする範囲は狭くなり、既存顧客に近い特徴を持つユーザーのみがターゲティングされます。反対に、類似度が低いほどリーチする範囲は広くなり、既存顧客とは異なる特徴を持つユーザーにも広告が配信されるようになります。
類似度が高いほどコンバージョン率は高くなり、類似度が低いほどリーチ数が増えます。
ターゲティングしたい範囲や広告の目的に合わせてどちらを優先すべきか判断し、適切な類似度に調整することが重要です。
ターゲティング除外リストを活用する
類似ユーザーターゲティングでは、広告を配信したくないユーザーを指定することができます。これには、除外リストを作成し適用する必要があります。
除外リストには、既にコンバージョン履歴があるユーザーや過去に広告をクリックしたことがないユーザーなどを含むことができます。
例えば、YDAでサイト訪問者の類似ユーザーターゲティングを行う場合、類似ユーザーリストにはオーディエンスソースであるサイト訪問者も含まれています。サイトに訪問したことがないユーザーに向けて広告を配信したい場合、既にサイトに訪問したことのあるユーザーは除外リストに入れて除外する必要があります。
ターゲティングの精度を高め、予算の無駄を無くすためにも、ターゲティング除外リストを活用することが効率的です。
まとめ
類似ユーザーターゲティングとは、登録した既存のユーザーデータを基に、共通の特徴を持つ新しいオーディエンスを見つけ出すターゲティング機能です。
時間や手間を抑えながら高い水準でコンバージョンに繋げることができるというメリットがあります。
こういった効果を確実に出すには、オーディエンスソースとして使用するユーザーの選定とそのデータのクオリティを上げること、類似度や除外リストなど用意されている任意設定を活用することなどが重要になります。
これらの点に気を付けて、類似ユーザーターゲティングを活用していきましょう。