自動入札とは?種類やメリット・デメリット、注意点を解説
自動入札とは、広告配信の際の入札を自動で行ってくれるシステムです。広告配信プラットフォームのアルゴリズムや機械学習でデータを分析し、リアルタイムで入札価格が最適化されるようになっています。
- 自動入札とは
- 自動入札で使用する主なシグナル
- 自動入札のメリット
- 自動入札のデメリット
- Google 広告の自動入札の種類
- Yahoo!広告の自動入札の種類
- 自動入札の注意点
- まとめ
自動入札とは、広告を配信する際の面倒な入札設定を機械が自動で行ってくれる仕組みです。
広告主は入札戦略や予算を設定するだけで、あとは広告配信プラットフォームがアルゴリズムや機械学習を活用して自動で入札価格を最適化します。
しかし、すべてを機械に任せてしまうと想定から外れたパフォーマンスになってしまうリスクがあります。
この記事では、自動入札の仕組みなどの基本知識やデメリットと対処法、注意点などを解説しています。
自動入札とは
自動入札とは、広告キャンペーンのパフォーマンスを最適化するために、広告プラットフォームが自動的に入札価格を調整する仕組みです。
通常、オンライン広告の入札単価を設定する際はパフォーマンスの分析やそれに基づく調整など多くの手間と時間がかかりますが、自動入札を利用することでそれらを省くことができます。
Google 広告やYahoo!広告など主要な広告配信プラットフォームでは、アルゴリズムと機械学習を使用して指定した目標(例:クリック数、コンバージョン数、広告費用対効果)に合わせた自動入札機能を使用することができます。
自動入札で使用する主なシグナル
広告主が設定した入札目標を達成するために、自動入札を行う広告配信プラットフォームは「シグナル」と呼ばれる指標を用います。
デバイスシグナルを使った例では、あるカフェが広告を配信している場合に、モバイルデバイスで検索しているユーザーのほうが店舗に来店する可能性が高いため、同じ地域にいるユーザーでもモバイルデバイスを使って検索をしているユーザーに対して広告配信が強化されるよう入札単価が調整されることがあります。
また地域に関する意図のシグナルでは、例えば旅行会社の広告で、旅行会社が取り扱っている旅行先に対して積極的に検索(例:「北海道 2月」「北海道 雪まつり」など )しているユーザーであれば店舗付近にいないユーザーに対しても入札単価の調整が行われます。
このように、自動入札を行うアルゴリズムは広告の内容や入札目標に合わせて様々なシグナルを使用して最適化を行っています。
自動入札のメリット
現在、オンライン広告の配信では自動入札が主流になっています。
なぜ自動入札が選ばれてきたのか、自動入札にすることでどのような良いことがあるのか以下で解説していきます。
リアルタイムにさまざまなシグナルを活用した入札
自動入札では、リアルタイムで複数のシグナルを活用し、最適な入札価格を決定することができます。
先ほどお伝えしたように、シグナルとはユーザーのデバイス、位置情報、検索キーワード、時間帯、過去の行動データなど、多岐にわたる要因を指します。これらのシグナルをリアルタイムで評価し、広告のターゲットとなるユーザーの興味関心や購入意欲が高まっている瞬間を狙うことで、広告が最も効果的に表示されるように入札が調整されます。
先ほどお伝えしたように、自動入札で使用されるシグナルは多数の種類があり、それらの要素を手動かつリアルタイムで活用するには限界があります。しかし、自動入札であればユーザーの属性や行動に応じて、様々なシグナルを考慮した入札をリアルタイムで行うことができます。
自動入札では細かなユーザーごとの行動パターンに基づいて最適なタイミングで広告を表示できるため、効果的な広告運用が可能となります。
パフォーマンスの向上
自動入札は、アルゴリズムと機械学習を活用して過去のデータを分析し、未来のパフォーマンスを予測します。このようにして、広告主が設定した目標であるクリック率(CTR)やコンバージョン率を最大化するための最適な入札価格が決定されます。
手動入札ではこのような複雑な計算をリアルタイムで行うのは困難ですが、自動入札であれば最適な意思決定が可能です。
こういった特徴から、特に膨大な数の広告グループやキーワードを管理する際には自動入札が最適です。広告主がすべてのキャンペーンやターゲットを個別に管理するのではなく、機械によって最適化が自動で行われるため、全体的なパフォーマンスが向上します。
手間の軽減
自動入札を使用することで、広告主は手動で入札価格を調整する手間を省けます。
手動入札の場合、広告キャンペーンが増えるとその作業はますます複雑化し、管理が困難になります。一方、自動入札を活用すれば、広告主は手動での細かい入札調整をする必要がなくなり、戦略的な意思決定やクリエイティブ作成など、ほかの業務に集中することができ、時間とリソースを効率的に分配することができるようになります。
自動入札のデメリット
メリットが多く完璧に思える自動入札ですが、デメリットも存在します。
デメリットを意識せず広告の設定を行うと、想定から外れたパフォーマンスになってしまうリスクがあります。
以下でデメリットとそれに対する対応策を解説していきます。
柔軟に入札調整ができない
広告主の意図と異なる結果になる可能性もあります。
自動入札のデメリットの一つは、入札価格の調整をプラットフォームに任せるため、広告主が細かく入札をコントロールするのが難しくなるという点です。その結果、広告主の意図やビジネスの目標と完全には一致しない入札結果になってしまう場合があります。
例えば、特定の時間帯やイベントにおいて、広告主が手動で設定したい特別な戦略がある場合でも、自動入札ではそれに柔軟に対応できないことがあります。また、入札の目標は広告配信プラットフォームが用意したものから選ぶ形になるので、広告主の意図と一致する入札目標が用意されていない場合や複数を組み合わせたい場合、イレギュラーな場合などに自動入札が対応するのも難しくなっています。
自動化がもたらす効率性の一方で、特定の条件下においては手動調整の方が効果的な場合があります。
学習期間が必要
最適なパフォーマンスを達成するまでに時間がかかる場合があるというデメリットも頭に入れておく必要があります。
自動入札はアルゴリズムや機械学習によって行われるため、効果的な入札を行うためには十分なデータを集めて学習する期間が必要です。
具体的には、新しいキャンペーンやキーワードを導入した際、プラットフォームが最適な入札価格を算出するためにデータが十分な量蓄積されるまでの期間が必要になります。この期間中は、予想通りのパフォーマンスが得られないことがあります。
特に、短期的なキャンペーンや短期間での結果が求められる場合、この学習期間がネックとなる可能性があります。データが蓄積される前にキャンペーンが終了してしまうと、最大限の効果を発揮できないまま予算を消化してしまうリスクも考えられます。
自動入札のアルゴリズムが効果的に働くためには、十分なデータが必要なため、学習期間を含めたスケジュールを立てる必要があります。データが蓄積されるまでの間、結果を急がずに待つことで、最適化の効果が最大限に引き出されます。
予算の消化が早まるリスク
自動入札はリアルタイムで最適化を行うため、適切な予算管理が重要です。
自動入札は、リアルタイムでの最適化を行うため、場合によっては予算の消化が予想よりも早く進むことがあります。
自動入札はコンバージョンやクリック率の最大化を目指すため、十分な効果が見込まれる場合は特定のユーザーやタイミングに対して高い入札価格を設定することもあり、予算が早々に使い切られてしまうことがあります。
このため、広告主は予算管理に細心の注意を払い、定期的な確認や必要に応じた設定の見直しを行う必要があります。
Google 広告の自動入札の種類
Google広告で自動入札を選択する場合、入札戦略として上記のようなものが用意されています。
以下で各入札戦略の詳細について解説していきます。
- クリック数の最大化:広告主が一日の平均予算を設定すると、Googleがその予算内で最大限のクリック数を獲得できるように自動的に入札単価が調整されます。Webサイトの訪問数を増やしたい場合など、クリックの獲得を目的とする施策に最適です。
- 目標インプレッションシェア:Google検索結果ページの最上部、上部、または任意の場所に広告が表示されるように、自動的に入札単価が設定されます。露出度や認知度向上を目的とした施策に最適です。
- コンバージョン数の最大化:広告主が指定した予算を消化しつつ、予算内で最大限のコンバージョンが得られるよう、入札単価が自動で調節されます。
- コンバージョン値の最大化:予算内で最大限のコンバージョン値が得られるよう入札単価が調整されます。例えば、商品購入によって生じる価値は、商品の価格によって異なります。投資利益率が最大化されるよう、コンバージョン値という指標を用いてコンバージョンごとに価値を割り当て、その基準に基づいて入札が最適化されます。
- 目標コンバージョン単価:広告主が意見あたりのコンバージョンにかける費用とコンバージョン(サイト登録や商品購入など)を設定することで、設定されたコンバージョンが最大限に獲得できるように入札単価が自動調整されます。
- 目標広告費用対効果:広告主が設定した特定の広告費用対効果を目指し、「目標広告費用対効果」内でコンバージョン数を最大化するよう入札価格が最適化されます。投資収益率の目標値が具体的に決まっている場合に最適です。
Yahoo!広告の自動入札の種類
Yahoo! 広告で自動入札を選択する場合、入札戦略として上記のようなものが用意されています。
以下で各入札戦略の詳細について解説していきます。
- クリック数の最大化:Yahoo!広告が、広告主によって設定された予算内でクリック数を最大化するよう入札価格を自動調整します。Webサイトへのアクセスを増やしたい場合に有効です。
- ページ最上部掲載:目標とする割合で検索結果のページ最上部に広告が表示されるよう入札価格が自動調整されます。認知度向上を目的とする施策に最適です。
- コンバージョン数の最大化:予算内でコンバージョン数を最大化するよう入札価格が自動調整されます。予算を最大限に使ってコンバージョンを増やしたい場合に最適です。
- コンバージョン価値の最大化:予算内で価値の高いコンバージョンの獲得を最大化するよう入札価格が自動調整されます。予算を最大限に使って、価格の高いコンバージョンや利益率の高いコンバージョンなどといった価値の高いコンバージョンを優先して獲得したい場合に最適です。
- コンバージョン単価の目標値:広告主は目標とするコンバージョン単価を設定し、その中でコンバージョンを最大限に獲得できるように入札価格が自動調整されます。コンバージョン単価を一定に保ちつつ、コンバージョン数は増やしたいという場合に最適です。
- 広告費用対効果の目標値:広告主が設定した目標の平均広告費用対効果(ROAS)を維持しながら、できるだけ多くのコンバージョン価値を獲得するように入札価格が自動調整されます。コンバージョンごとに異なる価値を加味しながら、目標とする広告費用対効果を達成したい場合に最適です。
自動入札の注意点
自動入札を使用する場合の注意点について解説します。
実際に広告配信で自動入札を選択することになった場合は以下のことを留意してください。
キャンペーン・広告グループを分けすぎない
自動入札を効果的に活用するためには、キャンペーンや広告グループを分けすぎないことが重要です。
自動入札を最適化するためには、十分な量の学習データが必要です。しかし、キャンペーンや広告グループを過剰に分けた場合、各グループのデータが分散し、アルゴリズムが十分に学習できなくなります。
適切なデータボリュームを維持するために、キャンペーンや広告グループの構造を簡潔に保ちましょう。
マイクロコンバージョンの設定をする
自動入札を使用する際は、マイクロコンバージョンを設定することも有効です。
マイクロコンバージョンとは、主要なコンバージョンに至る過程で発生する小さなアクションのことです。例えば、入力フォームを通してコンバージョンが発生する場合、入力フォームのページへのアクセスをマイクロコンバージョンに設定することができます。
こういったものを設定することで、ユーザーの行動を詳細に追跡することができ、広告キャンペーンのパフォーマンスをより正確に評価することができます。また、コンバージョンに関連する指標が増えるため、データの学習効率が上がります。
そのため、特にコンバージョンデータが少ない初期段階に有効です。
まとめ
自動入札とは、広告配信の際の入札を自動で行ってくれるシステムです。
広告配信プラットフォームのアルゴリズムや機械学習でデータを分析し、リアルタイムで入札価格が最適化されるようになっています。
メリットとしては、リアルタイムで複雑な計算を行えること、その結果としてパフォーマンスの向上が期待でき、手間を省くことができるということが挙げられます。デメリットとしては、広告配信プラットフォームは既定の枠組みの中での最適化を提供しているため柔軟な対応が難しいこと、最適化を行うためのデータの分析や学習に時間がかかること、予算の消化が早くなってしまう場合があることなどが挙げられます。
また、このシステムにおいてどの値が最適化されるかを表す入札戦略は、各広告配信プラットフォームが提供しているものの中から選択することができます。
自動入札の特徴を把握してうまく活用することで効率的な広告運用を目指しましょう。