ファネルの基礎 各ステージの特徴や活用例を解説
ファネルとは、一連のプロセスを逆三角形の図で表したものを指します。マーケティングにおいては、顧客がブランドや製品を認知する段階から、購入や契約に至る最終段階、またそこからリピート顧客になったりファン化したりといった部分まで、一連の流れを視覚的に示したものが一般的に使われています。
- ファネルとは
- ファネルの各ステージ
- ファネルの重要性
- 顧客理解とターゲティング精度の向上
- ファネルの最適化方法
- ファネルの活用例
- まとめ
顧客の購入プロセスを図式化した逆三角形の表を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。その逆三角形の図をファネルと言います。
ファネルを活用することで、顧客の状況に合わせて最適化した施策を作成することができるようになります。
この記事では、ファネルの基本的な意味や特徴、活用方法などを解説しています。
ファネルとは
ファネルとは、マーケティングなどのプロセスを段階的に表現するモデルのことを指します。
具体的には、顧客がブランドや製品を認知する段階から、購入や契約に至る最終段階、またそこからリピート顧客になったりファン化したりといった部分まで、一連の流れを視覚的に示したものです。
認知段階から購入へ進むにつれてリードの数は減っていくため、ファネルの上部は広くなり、下に進むにつれて幅が狭くなる漏斗のような形で表されます。
購買プロセスを表すパーチェスファネルは、認知、興味関心、比較検討、購入、リピート・ファン化の5つのステージで構成され、それぞれの段階で異なるマーケティング戦略が求められます。ファネルの目的は、効率的に見込み客を顧客に転換し、ビジネスの成長を促進することです。
ファネルの各ステージ
先ほど、マーケティングファネルは5つのステージで構成されるとお伝えしました。
この項目ではそれぞれのステージについて詳しく解説していきます。
認知
認知ステージは、ファネルの図では最も上部に位置し、潜在顧客がブランドや製品について初めて知る段階です。
この段階では、ディスプレイ広告やSNS広告、PR活動、コンテンツマーケティングなど、認知度向上を目的とした様々な手法を活用して、広範なターゲット層に情報を発信します。
認知度を高めることや、ターゲット市場にリーチすることがこの段階での目標となります。
興味関心
興味関心ステージにいる顧客は、ブランドや製品、サービスに対して興味を持ち始めています。
コンテンツマーケティングや、メールマガジン、リスティング広告、SNS広告などを通じて自社から積極的に情報を提供し、顧客の関心を引き付ける必要があります。
顧客の興味や関心をより確かなものにして、次の段階へ進んでもらうのが目的です。
比較検討
比較検討ステージの顧客は、他の選択肢と比較しながら製品やサービスの購入を検討しています。
比較ガイドや既存顧客のレビュー、デモンストレーション、無料サンプルの配布などで自社の製品を選ぶ理由を明確にし、競合他社との差別化を図る必要があります。また、クーポンやディスカウント情報で購入を後押しするための特典を付けることも効果的です。
自社製品の優位性を示し、購入意欲を高めることがこの段階の目標です。
購入
購入ステージでは、実際に顧客が製品やサービスを購入します。
購入手続きを簡易化したり、チャットボットやカスタマーサポートを導入して購入プロセスをスムーズにして顧客の購入を確実に完了させる必要があります。また、購入後のフォローアップなどで顧客満足度を高めることも重要です。
顧客の意思決定を促し、購入を確実に完了させることや顧客満足度を高めることがこの段階での目標です。
リピート・ファン化
最後はリピート・ファン化です。この段階では、購入した顧客が再度購入したり、他の顧客に推薦したりする状態を目指します。
ポイントや会員特典などのロイヤルティプログラムや、アフターサービス、SNSなどでの顧客との対話やフィードバック収集などを通じて長期的な関係を築き、ロイヤルティを高めます。
顧客自身のリピート購入や、ファン化してほかの潜在顧客に推薦してもらうことなどが目標となります。
ファネルの重要性
ここからは、ファネルを意識し活用することの意味や重要性について解説します。
顧客理解とターゲティング精度の向上
ファネルを活用することで生まれる利点は多々ありますが、顧客への理解度が深まり、ターゲティングの精度が向上するというのが最も重要な点です。
ファネルを活用することで、顧客がどのステージにいるかを把握し、適切なマーケティング戦略を実行できます。
例えば、認知の段階では広範な広告キャンペーンが有効ですが、比較検討段階では詳細な製品情報の提供が重要です。
このように、ファネルについて理解し、各段階で有効な施策を把握することによって、顧客にとって最適なタイミングで最適なコンテンツを提供できるようになります。
リソースの最適化
ファネルはマーケティングリソースを効率的に配分するためのツールとしても役立ちます。
ファネルでは、各ステージにおいてどのような施策が有効で、どういった施策の効果が出づらいかなど、施策の方向性がはっきりしています。これを参考に、各ステージに応じたリソースの投入によって見込み客をスムーズに次のステージに進めることができます。
これにより、無駄なコストを削減し、費用効率を最大化できます。
コンバージョン率の向上
顧客の購買プロセスを体系的に理解し、各段階で最適なマーケティング戦略を展開できるため、効果が出やすくなり、施策の効率も上がります。
各段階で適切なアプローチを取ることで、顧客がスムーズに購買決定を下しやすくなり、結果としてコンバージョン率が向上します。
ファネルの最適化方法
ファネルを実際に活用するということになったら、自社の製品やサービスに応じて最適化させていかなければなりません。
この記事では、ファネルを最適化するための方法として
- データの分析とKPIの設定
- ABテストの実施
- 顧客フィードバックの活用
- 継続的な最適化と改善
について詳しく解説します。
データの分析とKPIの設定
ファネルの最適化には、各段階のパフォーマンスをデータで分析し、設定したKPI(主要業績評価指標)と照らし合わせることが重要です。
各段階での代表的なKPIとして、認知段階ではサイト訪問者数や広告認知率が、興味関心段階ではメルマガ登録者数やクリック数、閲覧数などがあります。これらのKPIと実際のデータを照らし合わせて施策のフィードバックや修正を行っていきます。
例えば、購入の段階でKPIを「購入ページへの流入数」「商品をカートに入れた人の数」「実際に購入した人の数」と設定したとします。この時、購入ページへの流入数と商品をカートに入れた人の数のデータを分析し大きな差があった場合、商品情報をより詳細に載せる、自社の優位性をアピールできるような訴求にするなどの施策が立てられます。また、商品をカートに入れた人の数と実際に購入した人の数のデータに大きな差があった場合、購入をより簡単にしたり、カートに商品が入っていることのリマインドをするなどの施策が立てられます。
このように、自社の製品やサービスに合わせたKPIを設定し、データを分析することで各ステージの効果を定量的に評価します。
ABテストの実施
各段階での施策の効果を最大化する方法として、ABテストの実施があります。
ABテストとは、内容を少しずつ変えた施策や広告キャンペーンを並行して行い、実際のパフォーマンスを比較することでアプローチを最適化していく手法です。
例えば、異なる広告クリエイティブやランディングページのデザインをテストし、最も効果的なものを選定します。
実際に施行したデータを基に意思決定を行うことで、主観に惑わされない効率的な判断を行うことができます。A/Bテストを繰り返すことで、コンバージョン率やクリック率を向上させ、さらに顧客の嗜好や行動のパターンや傾向を理解できるようになるため、ファネル全体の効率を向上させることができます。
顧客フィードバックの活用
顧客からのフィードバックを活用することも重要です。
具体的には、顧客からのフィードバックを収集し、ファネルの各段階に反映させます。
顧客インタビューやアンケートを通じて得られた意見を基に、製品やサービス、マーケティング戦略を改善します。また、SNSなどの反応を改善の指標にするという方法もあります。
顧客の声を反映することで、より効果的なファネルを構築できます。
継続的な最適化と改善
ファネルは一度構築したら終わりではなく、常に最適化と改善を続けることが重要です。
技術の進歩とともに市場は日々変化しており、それに合わせて顧客のニーズも少しずつ変化しています。そのため、ファネルの各段階を定期的に見直し、変化に合わせた最適な戦略を実行します。
継続的な改善を通じて、常に高いパフォーマンスを維持できるようにしましょう。
ファネルの活用例
ファネルは、Web広告や、マーケティング戦略全体、コンテンツ制作など、様々なものに活用できます。
例えば、化粧品会社がWeb広告の戦略立案にファネルを活用すると以下のようなものを作成できます。
ファネル段階 | 目的 | 手法 | 具体策 |
---|---|---|---|
認知 | 商品の存在を広く知ってもらう | SNS、PR活動、ディスプレイ広告など | インフルエンサーへInstagramやYouTubeでの紹介動画の作成依頼、Meta広告出稿、効果を謳うバナー広告 |
興味関心 | 商品や効果に対する関心を引く、潜在顧客の育成 | リスティング広告、SNS広告など | 「30代 美白クリーム」「リフトアップ」などのキーワードでリスティング広告を出稿、成分や効果を紹介するSNS広告、ビフォーアフター写真の掲載 |
比較検討 | 自社の商品を選んでもらう | リターゲティング広告、無料トライアル申し込み、SNS広告など | 他社との比較表を用いた広告の出稿、広告からの申し込み限定の無料トライアル |
まとめ
ファネルとは、購入などのプロセスを漏斗状の図で表したものを言います。
顧客の購入プロセスを表すパーチェスファネルには、一般に「認知」「興味関心」「比較検討」「購入」「リピート・ファン化」の5段階が存在し、それぞれの段階に合わせた施策が必要です。
また、ファネルはそのまま使うのではなく、自社の製品やサービスに合わせて最適化したり、同じサービスでも市場の状況や顧客ニーズの変化によって継続的に改善していく必要があります。
ファネルを理解し活用することで、顧客の各段階に合わせた訴求を行えるので、効果的なアプローチが可能になります。