動的リターゲティングとは┃仕組みや効果を高めるポイントを解説
動的リターゲティングとは、従来のリターゲティングに加え、広告の表示をユーザーの好みや関心に合わせて自動で生成する仕組みのことを言います。動的リマーケティングという呼び方をする場合もありますが、意味は同じです。動的リターゲティングを活用することにより、広告の関連性を高め、再訪問や購入の可能性を高めることができます。
- 動的リターゲティングとは
- 動的リターゲティングの構成要素
- 動的リターゲティングの仕組み
- 動的リターゲティングのメリット
- 動的リターゲティングのデメリット
- 動的リターゲティングの効果を高める3つのポイント
- まとめ
動的リターゲティングとは、任意のアクションを取ったことのあるユーザーに対して、そのユーザーの興味や関心に合わせた最適な広告を自動で生成、配信する仕組みです。
この動的リターゲティングを使用することで、再訪問や購入の可能性を高めることができるため、コンバージョンに特化した広告配信手法であると言えます。
この記事では、動的リターゲティングの仕組みや重要な要素、効果を最大化させるためのポイントなどを解説しています。
動的リターゲティングとは
動的リターゲティングとは、過去に自社のWebサイトを訪れたユーザーに対して、ユーザーが閲覧した商品や興味を示した内容に基づいたパーソナライズされた広告を配信する手法です。動的リマーケティングという呼び方をする場合もありますが、意味は同じです。
動的リターゲティングを活用することにより、広告の関連性を高め、再訪問や購入の可能性を高めることができます。特にECサイトなどで積極的に活用したい機能です。
動的リターゲティングと通常のリターゲティングの違い
本記事が解説する動的リターゲティングと通常のリターゲティングの大きな違いは広告がパーソナライズされるかどうかという部分です。
通常のリターゲティングは特定のページを訪れたユーザーに対して同じ広告を配信するのに対し、動的リターゲティングはユーザーごとに最適な広告が自動生成されます。
これにより、ユーザーそれぞれにパーソナライズされた広告が提供され、ユーザーの関心に応じた内容が表示されます。
動的リターゲティングの構成要素
動的リターゲティングを設定するうえで重要になるのが
- タグ
- フィード
- クリエイティブ
の3つの要素です。
以下でそれぞれ解説していきます。
タグ
タグとは、ユーザーがどのページを訪問したか、どのような行動を取ったかを把握できるようにするためのものです。
タグは、Google 広告やFacebookなどの広告プラットフォームから取得することができるので、使用する広告プラットフォームごとにタグを設置するようにしましょう。
対象とするWebページにトラッキングタグを設置することで、そのページを訪れたユーザーの行動を把握することができます。
フィード
リターゲティング広告におけるフィードとは、広告の商品やサービスのデータを指しています。
ユーザーに合わせてパーソナライズされた広告を作成する材料となるフィードを、広告プラットフォームにアップロードします。具体的には、商品ID、商品名、価格、画像URLなどの情報が含まれています。
例えば、ユーザーが商品Aのページを閲覧したまま購入せずに他のサイトに移ってしまった場合、商品Aのフィードを解析して似たフィードやユーザーが興味を持ちそうだと思われる商品を広告に反映させます。
クリエイティブ
複数の商品を扱っている場合など、ターゲットユーザーによって見せたいクリエイティブが異なる場合、自動で最適なクリエイティブが選択される動的リターゲティング広告は特に有効です。
広告テンプレートを設定することで、ユーザーごとに異なる商品情報が自動的に広告に挿入されます。
Google広告では最大で15個の画像と5つのロゴを登録することができます。
登録したクリエイティブの中から最適なものが広告のバナーに表示されます。
動的リターゲティングの仕組み
動的リターゲティングの仕組みは、使用する広告プラットフォームによって細かい部分が異なりますが、大枠は同じです。この記事では、Google広告を例にして仕組みを分かりやすく解説します。
- ユーザーがウェブサイトを訪問:まずは、ユーザーが該当ページで商品を閲覧したり、カートに商品を追加することで設置したタグが反応します。
- タグがユーザーの行動を記録:反応したタグは、種類に応じてユーザーの行動や閲覧した商品のデータをGoogle広告に送信します。またユーザーの行動に基づいて、該当ユーザーは商品閲覧リストや購入者リストに追加されます。
- ユーザーが別サイトやアプリを訪問:その後、ユーザーがGoogleのディスプレイネットワークやパートナーサイト、アプリに訪問します。すると、必要に応じて表示する広告のオークションが行われます。
- ユーザーの履歴を送信:その時点でユーザーが閲覧しているサイトや商品の情報などがGoogle広告に送られてきます。
- 広告を自動生成:送られてきた情報やユーザーの過去の行動を基に、広告プラットフォームが広告で表示する商品を自動で選別します。
- 表示する商品情報を取得:広告に表示する商品が決まったら、事前に登録された商品フィードのデータ(商品画像、価格、説明など)をGoogle Merchant Centerから取得します。
- 動的広告が表示される:以上の情報がまとまったら、最後にカスタマイズされた広告が表示されます。これにより、ユーザーは以前に興味を持った特定の商品を思い出しやすくなり、コンバージョン率が高くなります。
動的リターゲティングのメリット
動的リターゲティングを活用する上でのメリットについて、代表的なものを解説します。
高いパーソナライゼーション
まず最初に挙げられるのは、個々に合った広告が自動生成されるという点です。
動的リターゲティングは、ユーザーの行動データに基づいて広告内容を自動的に変更するため、高度にパーソナライズされた広告を配信することができます。
ユーザーが過去に閲覧した商品をダイレクトに表示したり、関連する商品の表示、ユーザーの属性情報に基づいた広告の作成などがリアルタイムで行われます。
ユーザーの興味やニーズに直接訴求する広告を配信することで、より高いクリック率やコンバージョン率を期待することができます。
コンバージョン率の向上
動的リターゲティングは、コンバージョン率が高くなるという点もメリットです。
動的リターゲティングは、ユーザーが以前に興味を示した商品に基づいた広告を作成することで購入意欲を高め、コンバージョン率を向上させることができます。
特に、商品詳細ページを閲覧したものの、購入せずに離脱したユーザー(カート放棄ユーザー)や、過去に購入履歴があるユーザーに対して再度購入を促す広告を配信することで、顕著な効果が表れます。
効率的な広告運用
動的リターゲティングを活用することで手間やコストが省かれ、効率的な広告運用が行えるようになります。
動的リターゲティングは、商品フィードと広告テンプレートを一度設定すれば、後は自動的に広告が生成されるようになります。また、自動的に生成された広告はユーザー一人一人に合わせた内容となっており、コンバージョン率も高くなります。
以上より、広告運用の手間を省くことができ、さらに効果も期待できます。
動的リターゲティングのデメリット
動的リターゲティングにはデメリットも存在します。
初期設定の手間
動的リターゲティングを導入するには、トラッキングタグの設置や商品フィードの作成、広告テンプレートの設定など様々な設定が必要となります。
トラッキングタグはユーザーの行動データを収集するために、商品フィードの作成は最適な広告を表示するための商品データとして、広告テンプレートの設定は広告クリエイティブの自動生成に必要で、どれも欠かせないものです。
これらの設定には、時間と労力がかかります。
特に、商品フィードの作成は、商品点数が多い場合や商品情報が複雑な場合、大きな負担となる可能性があります。
データの正確性依存
動的リターゲティングの効果は、ユーザーの行動データや商品フィードの正確性に大きく左右されます。
データが不完全だったり不正確だったりした場合、不正確なデータに基づいて広告が生成されるため、ユーザーの興味やニーズに合致しない広告が配信される可能性があります。
また、その結果として広告キャンペーンの効果が低下する可能性があります。
動的リターゲティングの効果を高める3つのポイント
動的リターゲティングで効果を最大化させるためには、
- データの鮮度
- データの精度
- データの網羅
の3つのポイントに気を付ける必要があります。
以下でそれぞれ解説していきます。
データの鮮度
データの鮮度に気を付けるとは、広告に表示されるデータが常に最新のものになるよう気を付けるということです。
例えば、広告にはセール中の価格が表示されているのに対し、広告をクリックした遷移先にはセール終了後の値段が表示されていた場合、ユーザーはサイトに対して不信感を抱きます。
こういったことを防ぐためには、フィードデータを常に最新の状態に保つことが必要です。こうすることで、広告クリエイティブに表示される情報と実際のサイトに掲載されている情報の間に差異が生じることを防ぐことができます。
具体的には、商品の価格や在庫情報などの情報を定期的に更新すること、新しい商品やサービスを確実に追加すること、終了した商品やサービスを削除することなどの対策が有効です。
データの精度
データの精度とは、正確性とも言い換えることができます。
データフィードに登録する情報が正確なのはもちろんのこと、商品カテゴリをはじめとする、機械学習のソースとなる情報も正確に登録することで、学習の精度が高くなります。
レコメンドの精度が高ければ高いほど、ユーザーにとってより魅力的な広告が配信され、コンバージョン率が向上します。そのため、フィード以外の部分でもデータは積極的に登録し、データの精度を高められるようにしましょう。
レコメンドの精度を最大化するためには、特にカテゴリ設定が有効です。
データの網羅
データの網羅とは、かけている情報が無く、さらに言えば重複している情報もない状態を言います。
サイトに掲載されているすべての商品を網羅していない場合、ユーザーが探している商品を広告で表示することができず、機会損失が発生する可能性があります。
サイトの商品を網羅することで、すべてのユーザーに対して最適な広告を配信することができ、機会損失をなくすことができます。
まとめ
動的リターゲティングとは、従来のリターゲティングに加え、広告の表示をユーザーの好みや関心に合わせて自動で生成する仕組みのことを言います。
広告主は、リターゲティングのためにタグを、広告の自動生成のために複数のフィードとクリエイティブを登録することで、任意のユーザーに最適な広告を広告プラットフォーム側が自動で作成、配信してくれます。
こういった仕組みを活用することで、手間やコストを最低限に抑え、最大限の効果を発揮することができます。