リスティング広告のキーワード数は何個あればいいの?最適なキーワード数について教えます!

「リスティング広告は何キーワード数あれば良いですか?」

この質問は、デジプロの講義中によく受ける質問の一つです。

確かにリスティング広告は、広告代理店ではない限り自分が保有するアカウントしか見ることができず、適切なキーワード数が登録されているか不安になると思います。

今回は、リスティング広告の適切なキーワード数について解説をしていきます。

目指すべき広告アカウントの状態

理想の検索エンジンとは?

その前にGoogleが目指す、理想の検索エンジンについて話をします。皆さんは理想の検索エンジンと聞いて、どのような検索エンジンを想像するでしょうか?

それは『自分の検索語句に対し、ぴたりと合った情報が出てくる検索エンジン』です。

「海外旅行 おすすめ」と検索すれば、綺麗にまとまった海外旅行情報が豊富にあるサイトが表示され、また「賃貸 新宿」と検索すれば、新宿の賃貸物件情報が一覧化されたサイトが表示される検索エンジンが、理想の検索エンジンと言えるでしょう。

実際にGoogleで検索するとそのような一覧が結果として並んでいると思います。各企業・サービスはGoogleにユーザビリティの良いサイトだと高く評価されると、検索結果の上位表示を狙えうことができサイトトラフィックを増やすことができるため、日々ウェブサイトの改善をおこなっています。

広告も同様、ユーザーの検索語句に応じて適切なコンテンツを提供できていないとGoogleからの評価は下がり、検索結果の上位表示も狙えず、更には広告表示すらできないということにつながります。このGoogleからの広告評価を『広告ランク』と呼びます。

つまり本当の理想は『ユーザーの検索語句毎』に『適切な広告・ウェブサイト』を用意すれば良いのです。

しかしユーザーの検索語句は無限にあり、検索語句毎に広告・ウェブサイトを出し分けることなんて不可能です。そしてGoogleやYahooは、広告グループごとにキーワードの登録上限を設けているため、広告主は限られた範囲の中でキーワードを選定しなければなりません。

そのためリスティング広告においては、幅広い検索語句に対応するために『マッチタイプ』という機能が存在します。

適切なマッチタイプの使い方

マッチタイプは完全一致・フレーズ一致・部分一致があり、それぞれ役割が違います。また2021年7月にマッチタイプのアップデートがあり、絞り込み部分一致は今後新規で登録できなくなりました。

それぞれのマッチタイプの役割は以下の通りです。

さて、この表だけを見ると「部分一致だけで登録しよう!」と思うかもしれませんが、先述した広告ランクの観点を踏まえると、それは正しい判断ではありません。

例えば、様々な保険を扱っているサービスを運営していたとします。そして「生命保険」というキーワードと「医療保険」というキーワードを部分一致で登録した時、どのようなことが起こるでしょうか。

広告主としてはユーザーに「生命保険」と検索されたら、生命保険のランディングページに遷移、「医療保険」と検索されたら、医療保険のランディングページに遷移させたいと考えています。

しかし部分一致では「生命保険」と検索されても、広告ランク次第では「医療保険」の部分一致キーワードが反応し、意図しないユーザー体験を発生させてしまう恐れがあります。

そのためマッチタイプの1つである完全一致を活用して、『意図したユーザー体験を提供する』必要性があるのです。

そうなると「完全一致だけで良いのではないか?」と思ってしまうかもしれませんが、それも間違っています。先述の通りGoogleやYahooは広告グループ毎にキーワードの登録上限を設けているため、完全一致だけで登録しようとすると、いつか限界がきてしまいます。

「ではフレーズ一致!」ともなりません。フレーズ一致も、部分一致ほどではありませんが、意図したユーザー体験を100%提供できる機能とは言い切ることができません。

リスティング広告における適切なマッチタイプの使い方とは、『各マッチタイプ毎に役割を持たせる』ということです。

完全一致は、キーワードを絞って『意図したユーザー体験を提供する』という役割。

部分一致は、『新しい検索語句を発見し、ビジネスを拡大させる』という役割。

フレーズ一致は、その中間だと捉えていただければ良いと思います。

それぞれの役割を理解し、今のビジネス状況に応じたマッチタイプのポートフォリオを組むことが重要なのです。

最適なキーワード数は何個?

基準は業界やビジネス状況によって異なる

さて、ではアカウントに登録するキーワード数は何個くらいが適正なのでしょうか。

ビジネス状況に応じてマッチタイプの使い分けをしないといけないように、登録するキーワード数もビジネス状況に応じて変わります。

「◯◯個登録すればOK」という基準はなく、大規模なECサイトであればキーワード登録数は10万を超えますし、逆に小規模で限定的なサービスであればキーワード登録数は100個前後になります。

また部分一致を積極的に登録したいビジネスフェーズであれば、完全一致に加えて部分一致を追加する必要がありますし、限定的なユーザーに配信したい場合は、部分一致やフレーズ一致を登録する必要がありません。

ですので、ここでは『最低◯◯個は、完全一致で登録すべき』という基準について、以下説明をしていきます。

ECサイトの基準

ECサイトの場合、主に扱う単語は3種類です。

  1. 商品のカテゴリワード(バッグ、シューズなど)
  2. 商品のブランドワード(ナイキ、アディダスなど)
  3. 掛け合わせワード(ネット購入、格安など)

登録キーワードは「ナイキ シューズ」や、「シューズ 格安」などが想定されます。

掛け合わせパターンとしては前後入れ替えも含め、『① ✕ ② / ① ✕ ③ / ② ✕ ① / ② ✕ ③ / ③ ✕ ① / ③ ✕ ②』の6パターンです。

あとは自社のサービスと照らし合わせて、それぞれ掛け算をすれば、目指すべき登録キーワード数の最低ラインが算出されます。

例えば①商品のカテゴリワードが10個、②商品のブランドワードが10個、③掛け合わせワードが5個だった場合、

① ✕ ② = 100

① ✕ ③ = 50

② ✕ ① = 100

② ✕ ③ = 50

③ ✕ ① = 50

③ ✕ ② = 50

となるので、目指すべき登録キーワード数の最低ラインは400個となります。

当然、③の掛け合わせワードに関しては、アイディアによっていくらでも抽出することができるので、③を膨らませることができれば登録キーワード数も増やすことができます。

また『① ✕ ② ✕ ③』という掛け合わせもありますが、正直この掛け合わせを完全一致で登録することはオススメできません。3語以上の掛け合わせは、部分一致を活用すると良いでしょう。

地域に関連するサービスの場合

旅行や不動産、個別塾など、地域に関連するサービスは必ずと言っていいほどエリアキーワードを掛け合わせます。例えば「沖縄 旅行」や「武蔵小杉 塾」などです。

このようなサービスの場合も、主に扱う単語は3つです。

  1. エリアキーワード(東京、吉祥寺駅など)
  2. サービスワード(旅行、旅館など)
  3. 掛け合わせワード(格安、おすすめなど)

ECサイトと同様に、掛け合わせ方法を考えると『① ✕ ② / ② ✕ ① / ② ✕ ③ / ③ ✕ ②』の4パターンになります。

①エリアキーワードが100個、②サービスワードが5個、③掛け合わせワードが10個の時、目指すべき登録キーワード数の最低ラインは1100個になります。

地域が関連するサービスの場合、駅名や字名(地名)などを掛け合わせると簡単に1000キーワードを超えることが殆どです。全国展開しているようなサービスであれば、全国の市区町村を掛け合わせ、更には駅名・沿線なども掛け合わせると、エリアキーワード数だけで2000を超えることがあります。

その他サービスの場合

最後に、ECサイトや地域に関連するするサービスです。このようなサービスは比較的登録キーワード数が少なくなります。

同様に扱う単語から、目指すべき最低ラインを算出します。

  1. サービスワード
  2. 掛け合わせワード

掛け合わせパターンは① ✕ ②と② ✕ ①のみであるため、①サービスワードが5個、②掛け合わせワードが10個の場合、目指すべき登録キーワード数の最低ラインは100個になります。

このようなサービスの場合、扱うキーワード数が少なくなるためキーワードの管理やメンテナンスが楽になります。

そのため3語以上の掛け合わせでも完全一致を活用し、更には広告カスタマイザーを活用して積極的に『意図したユーザー体験を提供』しましょう。

まとめ

このように、ビジネスの状況やサービスの業種・種類・提供先によって目指すべき登録キーワード数が変化するため、「◯◯個登録すればOK」という基準はありません。

今回紹介した内容も、あくまで一例であるため掛け合わせパターンはいくらでも考えることができます。そのため特定の基準を設けて、その登録数を目指すという考え方自体が間違っているかもしれません。

重要なのは基準を設けずに、『どのような検索行動で流入してくるのか?』という想定を絞り尽くすことです。

その際に、自分の頭だけで考えずにGoogleやYahooが提供している『キーワードプランナー』『キーワードアドバイスツール』や、SEO流入の検索語句が分かるGoogleの『Google Search Console』などを活用し、キーワード拡張の種を見つけると良いでしょう。