小紅書(RED)のビジネスアカウント開設から収益化までの完全ガイド

REDビジネスアカウント開設

中国では若年層の女性を中心に圧倒的人気を誇る小紅書(RED)。InstagramのようなSNS機能と、AmazonのようなEC機能を融合させたユニークなアプリで、特に中国の若年層・都市部の女性たちから圧倒的な支持を得ています。

SNSとしての機能も人気ですが、アプリ内でシームレスに買い物ができることも人気の要因の一つです。

2023年の売上高は5500億円とも言われ、EC展開をしたい企業、中国進出を見据えている企業から多くの注目を浴びています。

この記事では、小紅書の基本機能やユーザー傾向、ビジネスアカウントの開設方法、広告配信メニューに至るまでマーケティング活用の視点からわかりやすく解説していきます。

小紅書 REDとは

小紅書とは、中国の若者や女性から絶大な支持を集めるアプリで、SNSとECサイトが混ざったような機能が特徴です。

小紅書の機能や傾向など詳しくはこちらの記事で解説していますので、気になった方は是非ご覧ください。

SNS機能

小紅書は先ほどもお伝えした通り若者や女性に人気のSNSアプリです。

写真や動画を中心に投稿ができるようになっており、ユーザーは自分の興味関心のある情報を手軽にシェアしたり、他のユーザーの投稿を閲覧したりして楽しんでいます。コンテンツとしては美容やコスメ、ファッション、グルメなどが多く、リアルな口コミや使用感をシェアするスタイルが人気です。

投稿に対して積極的にコメントや「いいね」、保存などのアクションが行われ、ユーザー間の交流も盛んです。

EC機能

ユーザーはSNSの投稿を通じて気になる商品を見つけ、そのままアプリ内で購入することが可能です。これは、広告経由で外部サイトに遷移する必要のあるInstagramやGoogleと大きく異なる点です。

この点が、単なる情報共有のSNSとしてだけでなく、購買行動を促すECプラットフォームとしての小紅書の大きな特徴です。

ユーザー層

小紅書ユーザーのデモグラフィックデータ
参考:https://www.qian-gua.com/blog/detail/2898.html

小紅書のユーザーは10代後半から30代の若い女性が中心で、その中でも都市部に住む比較的高所得なユーザーが多いです。

トレンドなどに敏感で、ファッションや美容にお金を惜しまないユーザーが多いため、小紅書で売れる商品もトレンドにのっとった質の良い商品であるという傾向があります。

中国のアプリやサイトと言うと、ライブコマース機能を使ってたたき売りのように低価格でどんどん売っていくイメージがありますが、そんなイメージとは違って価格競争になりにくく品質の良いものが売れていくというのが特徴的です。

ビジネスアカウント開設方法

小紅書でビジネスを展開するためには、まずビジネスアカウントを開設する必要があります。開設方法は以下の通りです。

アカウントを登録する

まずは、小紅書アプリを取得し、アカウントを開設します。

小紅書のアカウント登録は非常に簡単で、電話番号やWeChatアカウントを使って登録することができます。電話番号で登録した場合認証コードが届くので、それを電話番号の下の欄に入力し「登録」ボタンをタップします。

登録後は年齢や性別、興味のあるカテゴリを選択します。ここまでで設定した情報は他のユーザーから見られることはありません。

その後、ユーザー名やプロフィール画像を登録します。こちらは他のユーザーに見えるものとなりますので、ブランディングなどを加味し慎重に登録しましょう。

この時点ではビジネスアカウントと一般アカウントの違いはありません。

ショップタイプを選択

小紅書企業認証の手順

小紅書には、「個人職業資格(个人店)」「法人(个体工商户店)」「企業認証(企业店)」の3つのショップタイプがあります。

マイページから設定に飛び、「アカウントとセキュリティ」をタップ、「公式認証」の部分から進むことができます。

個人職業資格(个人店)については、認証を得るのが最も簡単なショップタイプですが、取り扱いできる商品が限定されており、販売できるアイテムも月30アイテムまでと制限があります。個人でいらないものを売ったり小規模なハンドメイド作品の売買で使われることが多いショップタイプです。

法人(个体工商户店)は身分証に加えて事業許可証の提出が必要となります。認証申請は少し手間がかかりますが、アイテムの掲載数が無制限になるなどの利点があります。

小紅書で本格的にECの売上を立てようとする方は、企業認証(企业店)を選ぶことになると思います。3つのショップタイプのうち最も認証に手間がかかり、身分証や事業許可証のほか会社登録番号や商標登録証、日本から商品を発送する場合は通関証明書などが必要になる場合があります。企業認証(企业店)での認証を得ると、データ管理やユーザー分析などビジネス運用していくうえで必要となる一通りのツールが使えるようになります。

ビジネスアカウントでできること

ビジネスアカウントの認証を受けることで、小紅書に広告を出稿したり、商品を販売することができるようになります。

小紅書はリアルな口コミを見ることができるというのが特徴の一つであるため、広告はあまり効果が無いという声もありますが、EC機能に関してはその収益性の高さが各所で認められています。

小紅書は中国におけるECメインプラットフォームの一つですが、アプリ内の投稿などで外部のECサイトに誘導したりショップ名を記載したりといったことができないので(見つかり次第アカウント停止になります)、小紅書ユーザーに商品をアプローチする唯一の方法となります。

広告の出稿

小紅書アプリ内では大きく分けて「インフィード広告」「検索広告」「薯条プロモーション(Meta広告で言うブーストのようなもの)」「インフルエンサーコラボ(アフィリエイト)」の4つのキャンペーンを配信することができます。

インフィード広告

小紅書内ではもっともメジャーな広告で、タイムラインやフィードの投稿内に紛れ込む形で配信されます。ユーザーデータに基づいて、年齢、性別、地域、興味関心などの属性で細かくターゲットを設定できるので、関連性の高いユーザーに効率的に広告を配信できます。

顕在層のユーザーへのアプローチはもちろん、潜在層ユーザーへのアプローチにも効果的です。

検索広告

検索広告は、アプリ内での検索結果の欄に出稿することができる広告です。

GoogleやYahoo!などでのリスティング広告と同じようなターゲティングを使用することができます。もちろんキーワードの設定も可能です。

設定したキーワードを検索しているユーザーにリーチすることができるため、顕在層に対して効果的にアプローチすることができます。

薯条プロモーション

これは、Meta広告のブースト機能をイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。

ライブストリーミング配信の告知や新商品の紹介、キャンペーン情報の拡散など、ある程度のインプレッション数が必要となるマーケティング施策で使わたり、商品をバズらせる目的で使用されます。

プロモーションの予算と期間を決定し、小紅書内での通貨「薯币」で支払います。

あくまでインプレッションを増やす目的で使われ、クリックやコンバージョンなどの保証は無いことに注意が必要です。

インフルエンサーコラボ

小紅書アプリ内において、もっとも効果の高い広告がインフルエンサーコラボの広告です。

小紅書はリアルな口コミを知るために使っている人が多いため、広告色の強いものよりも自然なレビューを思わせるインフルエンサーコラボの効果が出やすくなっています。そういった考え方の影響なのか、トップインフルエンサーのように何百万人もフォロワーがいるようなユーザーより、一般消費者に近いと言われるKOC(Key Opinion Customer)とのコラボの方が好まれやすい傾向にあります。

小紅書でのインフルエンサーコラボは、アプリに申請をし、インフルエンサーだけでなくアプリ側にも出稿費用を払う必要があることに注意が必要です。

EC出店

小紅書のECサイト例

Googleのショッピング広告などで商品を売ろうとする場合は画像や商品情報を登録し、外部の販売サイトに遷移させる必要がありますが、小紅書ではアプリ内ですべて完結させることができます。

先述した通り、外部サイトに飛ばしてしまう方法を使うとアカウント停止になってしまう恐れがあるため、小紅書で商品を売る唯一の方法となります。

商品の出品は他のECサイトと同じように、商品の画像や詳細情報、金額などを入力し登録していきます。

支払方法の設定や配送方法については日本のECサイトと少し違う点がありますのでここからはそういった部分について解説していきます。

収益や手数料について

小紅書での支払いは、AliPayとWeChatPayが採用されています。日本円での取引はできないため、日本円でユーザーが支払う/出品者が受け取る場合は支払時のレートで人民元と日本円が変換されます。

また、小紅書側に支払う手数料なども人民元での請求書が送られてくるため、中国での取引が可能な海外口座を開設したほうが便利です。

手数料などについては、小紅書のビジネス認証を受ける際に600人民元(棄却された場合でも戻ってきません)、2年目以降運用費用が毎年600人民元かかります。

また、商品を出品するにあたって保証金を支払う必要があるのですが、これは小紅書に提出する法人登録書の登録地域によって変わります。中国で法人を立てその法人で認証を受けた場合、保証金は少し安くなります。

その他に5%の販売手数料や配送手数料(小紅書の配送サービスを使う場合)がかかります。

配送方法

日本から商品を送る場合は、通関証明書や配送番号などの登録が必要になります。中国の工場から配送したり、中国で作られたOEM製品を使用する場合は通関に関する手続きは不要となります。

しかしこれは自社で配送をすべて担当する場合で、小紅書が提供する独自の配送サービスを使用して簡単に配送することも可能です。

小紅書独自の配送サービスはRED Expressといい、日本や韓国、香港にある倉庫に商品を納品すると注文管理や梱包、配送をすべてになってくれるサービスです。このサービスを使う場合、一定の個数ごとに倉庫使用料として手数料を支払う必要がありますが、手間はかなり省くことができます。

もしくはRED Boxというサービスを使う方法もあります。

こちらは、小紅書が始めた海外企業向けのサービスです。出店している企業は、注文を受け付けたら梱包と送り状の貼付までして小紅書の中国国内倉庫に送ります。その後中国国内の配送を小紅書が担います。注文ごとに発送する必要がありますが、在庫管理を自社で行うことができるので、長期間の倉庫使用料を払わないで良いというのがメリットです。