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エンゲージメント
エンゲージメントとは
エンゲージメントの意味
エンゲージメント(engagement)とは、約束や契約、婚約などを意味する言葉です。日本において、カタカナでエンゲージメントと記される場合は、使用シーンによって細かな意味合いは異なるものの、大まかには「深いつながりやその度合い」を指します。
マーケティングにおけるエンゲージメント
マーケティング領域においてエンゲージメントとは、顧客が商品やサービス、もしくは企業やブランドに対して抱くつながりや愛着を指して使われます。顧客が抱くものであるため、ほかのエンゲージメントと区別して「顧客エンゲージメント」と言われることもあります。
従業員エンゲージメントとの違い
従業員エンゲージメントとは、主に人事領域で使用される言葉です。従業員が、所属する企業に対して抱くエンゲージメントを指します。企業と従業員との間の信頼関係と言い換えることもできます。
顧客エンゲージメントは自社商品の売り上げを伸ばすために使われる指標であるのに対し、従業員エンゲージメントという言葉はおもに会社への定着率を改善する際などに使われます。
なぜエンゲージメントが重要なのか
エンゲージメントという言葉が広告の効果を分析するための指標として使われるようになったのは、21世紀に入ってからだと言われています。その背景には様々な要因があります。
消費行動の変化
従来のマーケテイングは、企業側が広告などで情報を発信し、顧客はそれを受け取るという形が主流でした。しかし現代では、インターネットの普及に伴って、顧客側が能動的に情報を取得するケースも多くみられます。これによって、顧客側の選択肢の幅は広がり、企業にとっては有力な競合が増えるという結果になりました。
多様化した選択肢の中で選ばれる商品やサービスを提供するためには、顧客との関係を考え直し、より深いつながりを持ってもらうことが重要です。こうした動きによって、エンゲージメントという言葉がマーケティング領域で使われるようになりました。
顧客との長期的な関係作り
さらに選択肢が増えたことで、ユーザーがコンバージョンに至ったあと、ほかの選択肢に興味を持ち離れていく可能性も高まりました。一度獲得した顧客が競合に流れていかないようにするためにも、定期的な接点を維持することでエンゲージメントを向上させ、継続的な関係を作っていくことが重要になります。
エンゲージメントを向上させる方法
企業やブランドとユーザーの間におけるエンゲージメントには様々な形があり、エンゲージメントの獲得方法や向上させる方法も様々です。一方で、共通して言えるのが、「ターゲットとなるペルソナを設定して、ターゲットに刺さるアプローチをする」という事です。以下に、代表的なエンゲージメントの向上手法を挙げます。
オウンドメディアでのコンテンツ発信
オウンドメディアとは、自社が所有し管理するメディアのことで、ウェブサイトやブログなどの形があります。
オウンドメディアを活用したコンテンツの発信は、ブランドの認知度を高めたり、信頼関係を築くのに効果的です。自社の商品やサービスについてのコンテンツを発信することで、潜在顧客の抱える課題の解決や、検討時に知りたいと思っている情報の提供を行うことができます。既存顧客に対しては、自社の商品やサービスを有効活用するための方法や役に立つ裏技などを発信することによって、信頼を得ることができます。また、顧客との直接的なコミュニケーションの場を提供することでより深い関係の構築につながります。
SNSの運用
SNSを使ったマーケティングは、現代のデジタルマーケティングにおいて重要な戦略の一つです。SNS運用を活用することで、顧客とのダイレクトなコミュニケーションを可能にし、ブランドの知名度向上やロイヤルティの向上が期待できます。
SNSの強みとして、顧客とのダイレクトかつリアルタイムでのコミュニケーションというものが挙げられます。ほかの媒体で情報を発信するよりも大きなリアクションが期待できるというメリットがあります。さらに、SNS上でのコンテンツの共有やユーザー参加型の企画などを通じて、ブランドの知名度を高め、顧客のロイヤルティを向上させる効果があります。さらに、こうした一連の動きをデータとして分析し、改善することで、効果的な戦略の構築と実行に移ることができます。これらの要素が組み合わさることで、企業やブランドとユーザー間での持続的な関係構築につながります。
マーケティングオートメーション(MA)の活用
マーケティングオートメーションとは、潜在顧客の情報の獲得からコンバージョンに至るまでの一連のマーケティングの流れを自動化する概念のことです。現在、市場には様々なツールが用意されています。設定したペルソナに合致したツールを比較し、導入することで大幅にコストを削減し、効率化を図ることができます。
こういったツールを活用することで、ユーザーや潜在顧客の情報をデータで一元的に管理することができます。顧客のセグメントやフェーズに沿ったアプローチを一括で行うことで、効率的にエンゲージメントを向上させることができます。
ユーザーエクスペリエンスを大事にする
ユーザーエクスペリエンスを向上させることは、エンゲージメントを向上させることにつながります。ユーザーが商品やサービスについて好意的な感情を抱くことで、企業やブランドに対しての感情や評価も高まるからです。
ユーザーがより快適に商品やサービスを利用する環境を整えることで、そのユーザーは企業に対して信頼を寄せます。具体的には、使いやすいサイトやアプリの設計や、パーソナライズされたコンテンツ、迅速なサポート体制などが快適な利用環境につながります。さらに、ユーザーの期待通りの機能や情報を提供することでその信頼感を高めることができます。こうした機能に裏付けられた信頼は継続的な利用や支持につながり、企業やブランドとユーザー間の長期的な関係の発展に貢献します。
エンゲージメントの効果測定方法
アンケート調査
商品を販売する際にアンケート用紙を同封したり、インターネット経由での購入の場合はアンケートページに誘導することでダイレクトにユーザーの声を聞くことができます。
また、NPS(ネットプロモータースコア)は「この商品やサービスを友人にどのくらい紹介したいですか」などといった設問に1~10点で評点してもらう方式で、ロイヤルティが数値化されるため扱いやすく、広く活用されています。
これらを通して得たデータでユーザーをラベル分けして管理することで、その後のアプローチに生かすことができます。
SNSを使用した測定
自社のSNS投稿に対してどれくらいの反応があったかを指標にエンゲージメントを測定する方法です。いいね数や共有の数、返信、クリック数などが具体的な指標になります。
SNSによっては、詳細なデータ分析が可能なシステムやツールが用意されているため比較的容易にデータを集めることができます。
エンゲージメントの強化によって成功した事例
化粧品会社
ある化粧品会社は、ユーザーのエンゲージメントを向上させるために、自社の美容部員40名以上にインスタグラムのアカウントを付与し、運営させる戦略を取りました。「今、知りたい情報」を好きな時に好きな場所で見つけられるという事をコンセプトに、自社製品の情報を発信しています。
各個人の肌質やパーソナルカラーに適した商品の紹介や使用方法を発信することで、ユーザーは細かな情報を得ることができるようになり、さらに現役の美容部員であるという事もブランドへの信頼を高める一因となりました。
現在、フォロワー数6万人を超えるアカウントも存在し、多くのファンを獲得する結果となりました。
食品会社
ある食品会社は、自社メディア戦略の一環として、自社製品を使ったレシピの紹介や最新情報の公開などを行うサイトを開設しました。
この結果、自社製品を使った料理のレパートリーが広がり、使用頻度が高くなったことで消費量も増え、売り上げにつながる結果となりました。さらに、レシピサイトにはユーザーが開発したレシピをシェアできるようにしたり、つくった感想を投稿できるようにしたりすることでユーザーとの接点が増え、エンゲージメントが向上しました。
まとめ
マーケティング領域におけるエンゲージメントとは、顧客と企業のつながりを指す言葉です。
インターネットが普及し、ユーザーの消費行動の変化に合わせて注目されるようになった概念です。
よくある質問
Q.エンゲージメントを向上させることでどのようなメリットがありますか
A.エンゲージメントを向上させることでユーザーとの間に信頼関係が築かれるため、顧客の固定化や長期化などのメリットが期待できます。
Q.SNSにおけるエンゲージメントとは?
A.SNSマーケティングでは、「いいね」「リポスト」「シェア」「コメント」といった、投稿に対する反応のことをエンゲージメントと言います。SNSにおいてもユーザーとのつながりを測定するうえで重要な指標となっています。
Q.SNSを使ってエンゲージメントを向上させるにはどの媒体を使用すればいいですか
A.各SNSによってユーザー層やできるアプローチが異なるため、自社のターゲットに適したSNSを選ぶことが重要です。例えば、Instagramは写真中心のアプローチになりますが、Xの場合は文章中心のアプローチが有効です。さらに、Xは投稿頻度が多い方がタイムラインに埋もれづらく話題に上がりますが、逆にFacebookの場合は頻繁に投稿しすぎるとエンゲージメントを高めにくくなると言われています。