リターゲティングとは?仕組みやメリット・デメリットを解説
リターゲティングとは、過去に自社のWebサイトを訪れたことがあるユーザーに対して再度広告を配信する手法です。Cookieと呼ばれる小さなデータファイルを利用して、ユーザーの行動履歴を収集し、行動に応じて目的の広告をユーザーに配信します。これにより、再訪問が促進され、ユーザーの記憶に残りやすくなります。また、それによってコンバージョン率の向上や広告費の効率的な運用なども期待できます。
- リターゲティングとは
- リターゲティングの仕組み
- リターゲティングの種類
- リターゲティングのメリット
- リターゲティングのデメリット
- リターゲティング広告の設定順序
- GDNとYDAにおける推奨設定
- リターゲティングとCookieの規制
- まとめ
リターゲティングとは?仕組みやメリット・デメリットを解説
リターゲティングの設定を行うことで、サイトへの再訪問が促進されユーザーの記憶に残りやすくなったり、コンバージョン率の向上や広告費の効率的な運用が期待できます。
しかし、これらのメリットを最大限活かすには、各広告掲載媒体の設定方法を理解するなどの注意点があります。
この記事では、リターゲティングの設定の基本から、設定の手順、推奨設定、Cookie規制による影響とその対策などを解説しています。
リターゲティングとは
リターゲティングとは、過去に自社のWebサイトを訪れたことがあるユーザーに対して再度広告を配信する手法です。これにより、再訪問が促進され、ユーザーの記憶に残りやすくなります。
例えば、ショッピングカートに商品を残したユーザーに対して、購入が完了していないことを知らせたり、フォローアップ広告を配信することなどが当てはまります。
リターゲティングを行うことで、コンバージョン率の向上や広告費の効率的な運用が期待できます。
リターゲティング広告が使える配信媒体
リターゲティング広告は、GDN、YDAなどのアドネットワークのほかFacebook、Instagram、Twitter、LinkedInなどの多岐にわたる媒体で利用可能です。
ユーザー数の多いサービスでは基本的にリターゲティング機能が提供されているので、広告主はユーザーがインターネット上で頻繁に訪れる場所に広告を表示することができます。
リターゲティングの仕組み
リターゲティング広告は、Cookieと呼ばれる小さなデータファイルを利用して、ユーザーの行動履歴を収集し、行動に応じて目的の広告をユーザーに配信します。
Cookieは、ユーザーの端末に保存され、Webサイトやアプリの閲覧履歴、ログイン情報、設定情報などを保持します。
広告掲載媒体は、Cookieに基づいて、どのユーザーにサイトの閲覧履歴があるのか、購入履歴があるのかなどを把握し、任意のユーザーに広告を配信します。
リターゲティングの種類
リターゲティングは、どういった情報を基に広告を配信するかによって大きく3種類に分かれています。
以下でそれぞれ解説します。
サイトリターゲティング
サイトリターゲティングは、サイトやページの閲覧情報に基づいて広告を配信します。
例えば、自社サイトに訪れたことがあるユーザーに対して新商品の広告を配信したり、商品ページを訪れたものの途中で離脱してしまったユーザーに対して同じ商品の広告を表示するといった手法があります。
サーチリターゲティング
サーチリターゲティングは、特定のキーワードで検索したユーザーに対して広告を配信する手法です。
例えば、自社の商品のキーワードについて検索したことがあるユーザーに対して該当商品の広告を表示するといったものがサーチリターゲティングに当てはまります。
これにより、興味関心度の高いユーザーに対してターゲット広告を表示できます。
CRMリターゲティング
CRMリターゲティングは、既存の顧客データベースを使用して、特定の顧客に対して広告を配信する手法です。CRMとは顧客関係管理のことで、問い合わせやイベント参加、購入などを通じて収集された特定の人々の連絡先情報が保持されています。
このように精度の高いユーザーデータを基に、デモグラフィックデータを抽出したり購入履歴を参照することができます。
オフラインで集めた情報をオンラインデータにまとめることができるのがCRMリターゲティングの最も大きな特徴です。
リターゲティングのメリット
リターゲティングの設定をすることで得られるメリットとしては、主に
- コンバージョン率の向上
- ROIの向上
- ブランド認知度の拡大
の3つが挙げられます。
以下でどういうことなのか具体的に解説していきます。
コンバージョン率の向上
リターゲティングは、以前に関心を示したユーザーに再度アプローチすることができます。
上の図に示されているように、リターゲティングでアプローチするユーザーはCVに最も近いユーザーです。
この時、リターゲティング広告が商品の購入意思が固まっていたもののカートに入れたまま忘れてしまったユーザーにリマインドしたり、値段が理由で購入をためらっていたユーザーにセールの情報を伝えるなどの役割を果たすことで、コンバージョン率を大幅に向上させることができます。
ROIの向上
ROIとは、投資利益率のことです。ROIが高いほど、少ない投資で多くの利益を得ていることを示します。
リターゲティングにより、広告費を効率的に使用することができるのでROIが向上します。特に、購入意欲の高いユーザーに絞って広告を配信するため、無駄な広告費が削減されます。
ブランド認知度の拡大
リターゲティング広告を配信することはブランド認知度の拡大にも役立ちます。
ユーザーが商品やサービス、ブランドを記憶するには接触回数が複数ある必要があります。特に、一定の期間を空けて繰り返し商品やサービス、ブランドに関する情報を受け取ることで記憶に残りやすくなります。
リターゲティング広告を通じて、ユーザーが再度ブランドや製品を認識しやすくなるため、ブランド認知度の拡大に繋がります。
リターゲティングのデメリット
リターゲティング広告を配信することによるデメリットももちろん存在します。
デメリットを把握し、設定の段階でそれらに対する対策を立てることでリスクを避け、利益を最大化させましょう。
広告疲れ
リターゲティング広告を配信することで起こるメリットとして最もよく挙げられるのが広告疲れです。
広告を頻繁に表示すると記憶に残りやすいという利点もありますが、回数が過ぎるとユーザーが煩わしさを感じることがあります。これを広告疲れと言います。
これを防ぐためには、フリークエンシーキャップ(広告表示回数の上限)を設定することが重要です。
プライバシーの問題
リターゲティングは、ユーザーの行動データを基に広告を表示します。
そのため、ユーザーによっては自分の行動に心当たりがある内容の広告が表示されることに対して不信感を抱くことがあります。プライバシーに関する懸念が生じるのです。
このリスクを避けるためには、リターゲティング広告の配信の設定で使うデータに気をつけたり、広告の内容を見直す必要があるかもしれません。
リターゲティング広告の設定順序
ここからは、実際にリターゲティング広告を設定する際の手順とその役割について解説します。
流れとしては、
- タグの設定
- リストの作成
- リストの設定
- 広告の作成と配信
というものになります。順にみていきましょう。
1.タグの設定
リターゲティング広告の設定は、まずWebサイトにタグを設置することから始まります。
タグを設定することで、ユーザーがサイトを訪れた際にCookieを設定し、ユーザーの行動を追跡することができるようになります。
タグの設置は、Google AdsやFacebook Ads Managerなどの広告プラットフォームが提供する各コードをWebサイトに埋め込むことで行います。自身がどの広告プラットフォームを使うか、広告パフォーマンスの確認にはどのようなツールを使用するかによって適切なタグを使うようにしましょう。
2.リストの作成
タグを設置した後は、リターゲティングリストを作成します。
リスト作成時には、リターゲティングの手法によって任意の条件やルールを指定します。例えば、「特定のページを訪問したユーザー」や「カートに商品を追加したが購入しなかったユーザー」などです。
また、複数の条件を組み合わせてリストを作成することも可能です。
3.リストを設定
次に、作成したリストに入っているユーザーに対して広告を配信するための設定を行います。
広告キャンペーンのターゲットオーディエンスとして作成したリストを指定することで、「特定のページを訪問したユーザー」や「カートに商品を追加したが購入しなかったユーザー」に対して広告が配信できるようになります。
リストを設定したら、通常通り予算や広告クリエイティブを設定します。
これにより、特定の行動を取ったユーザーに対して効果的に広告を配信できるようになります。
広告の作成と配信
リターゲティングリストがターゲティングオーディエンスとして設定されたら、実際の広告を作成し、配信します。
広告クリエイティブは、ユーザーの興味を引く内容にすることが重要です。例えば、以前に訪れた商品ページの情報を含めた広告や特別オファーを提示することで、ユーザーの再訪問を促進します。
すべて設定できたら、配信を開始します。
GDNとYDAにおける推奨設定
主要なアドネットワークであるGDNとYDAでは、ターゲティング設定に異なる特徴があるので、それぞれの特徴とそれに合わせたおすすめの設定方法について解説していきます。
GDNの推奨設定
GDNのターゲティング設定は6種類に分かれており、精度の高いターゲティング設定が可能です。
リターゲティングの設定においてYDAと異なるのは、一つの広告グループに複数のリターゲティングリストを設定することができるという点です。
また、入札は自動で行われるため、多くの情報を紐づけたほうが最適化されやすい傾向にあります。
以上より、GDNでのリターゲティング設定は、一つの広告グループに対して複数のリターゲティングリストを設定し、広告グループ全体で大きく括る方法をお勧めしています。
YDAの推奨設定
YDAのターゲティング設定は8種類に分かれており、細かなターゲティング設定が可能です。
リターゲティングの設定において、一つの広告グループに複数のリターゲティングリストを設定することができるという点はGDNと同じですが、リターゲティングリストの数には上限があり、入札は手動で行う必要があるという点が異なります。
そのため、調整や入札が分かりやすいようにリターゲティングリストごとに異なる広告グループを作成することをお勧めしています。
リターゲティングとCookieの規制
リターゲティング広告は、Cookieを利用してユーザーの行動履歴を収集するため、Cookie規制の影響を受ける可能性があります。
特に最近では、サードパーティCookieと呼ばれる、異なるWebサイト事業者が設定したCookieが規制の対象となっています。
プライバシーの観点から、これらの規制やルールは日々更新されているので、都度確認が必要です。
Cookie規制の影響
Cookie規制の影響としては、以下のような点が挙げられます。
- リターゲティング広告の配信精度が低下する可能性がある: ユーザーの行動履歴を正確に把握できなくなるため、リターゲティング広告の配信精度が低下する可能性があります。
- 広告費が高騰する可能性がある: リターゲティング広告の配信精度が低下すると、広告効果が低くなり、広告費が高騰する可能性があります。
- 新たなリターゲティング手法の開発が必要になる: Cookieに代わる新たなリターゲティング手法の開発が必要になります。
上記のような影響が考えられるため、プライバシーに配慮した方法を考える必要が出てきています。
Cookie規制への対策
Cookie規制とそれに付随する影響への対策としては、以下のようなものが挙げられます。
- ファーストパーティCookieを利用する: 自社のWebサイトで設定したCookie(ファーストパーティCookie)は、規制の対象外となります。
- ゼロパーティデータを利用する: ユーザーが自発的に提供した情報(ゼロパーティデータ)は、規制の対象外となります。
- コンテキストターゲティングなどを活用する: ユーザーの行動履歴に頼らず、Webサイトの内容やユーザーの属性に基づいて広告を配信するコンテキストターゲティングなどを活用する。
独自のデータやユーザーの同意を得て収集されたデータに関しては規制の対象外になるため、それらを活用した方法が有効となります。
まとめ
リターゲティングとは、過去に自社のWebサイトを訪れたことがあるユーザーに対して再度広告を配信する手法です。これにより、再訪問が促進され、ユーザーの記憶に残りやすくなったり、コンバージョン率の向上や広告費の効率的な運用が期待できます。
設定方法に関しては、各プラットフォームによって異なる部分があるため確認する必要があります。GDNでは複数のリストを大きくまとめたシンプルな設定を、YDAではリストごとに広告キャンペーン作成する分かりやすい方法をお勧めしています。
また、Cookieの規制によってリターゲティングにも影響が出る可能性があるので、情報は逐一チェックするようにしましょう。
リターゲティング設定について理解を深め、使いこなすことでコンバージョンの機会を最大化しましょう。